2022年春夏のファッションウイークは、いよいよパリへ。リアルとデジタルが入れ混じるコレクションがスタートしました。欧州駐在スタッフによるパリ現地からの生のリポートとともに、日本の編集部からもデジタルでパリコレに参加し、レビューをお届けします。
「ウジョー」のジェンダーレスな風になびくレイヤード
「ウジョー(UJOH)」は、“美しい線が生む日常のモダン”をテーマにデジタルショーを行いました。「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」で7年間パタンナーを務めた西崎暢によるパリで2シーズン目のショーは、森の中の水たまりの間をモデルたちが行き交う抒情的な演出が印象的でした。モノトーンを軸に、ミントやピーチを織り交ぜながら、グラフィカルなカッティングのテーラードスタイルを発表。ジェンダーレスなアイテムには、スリーブや身頃を切り抜いたり、脱構築的なエレメントを盛り込んだりしています。トレンチやロングベスト、ドレスなどにロングパンツをレイヤードしながらも、風になびくエアリーな仕上がり。アーティストの佐々木香菜子によるペイント素材が、アーティスティックな趣をプラスしています。リサイクルポリエステルを使用したニットなども登場しました。自然に溶け込むような清々しいコレクションです。
ディテールに光を当て今の気分を表現した「シチュエーショニスト」
ジョージア発「シチュエーショニスト(SITUATIONIST)」は、水面や木々、空、虹といった自然の現象をとらえた美しい映像と共に新作コレクションを発表しました。テーマは、「先行き見えない雰囲気(AIR OF UNCERTAINITY)」。ヨーロッパではコロナが収束して日常が戻りつつ感じがありますが、日本の私たちからすると共感できるテーマです。ジャケットやコートなどのテーラードは、ウエストを絞りメリハリをきかせたシルエットに仕上げています。温かみのある素朴なニットやアニマルプリントのアイテムなども登場しました。それらのアイテムに施されたステッチやトリミング、ドレープなどディテールに焦点を当てた映像を挟み込んでいるのが印象的。先行きが見えない今、遠くからは見えないディテールに光を当てることでコレクションに深みを持たせているような気がしました。