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老舗ニットアパレルが作る「タフなカシミヤセーター」が人気

 ニットアパレルのジム(東京、八木原保社長)が、クラウドファンディング「マクアケ」で実施しているカシミヤセーターの販売が好調だ。主力商品で1着3万9897円と高価にもかかわらず、9月21日の開始から10月7日時点で96着・369万円を売り上げた。商品単体のユニークさだけでなく、老舗企業ならではのモノ作りのストーリーが支持された。マクアケで21日まで販売する。

 「10年着てほしい・贅沢すぎる肉厚カシミヤガンジーセーター」を銘打った商品は、通常のカシミヤセーターよりもたっぷり素材を使っているのが特徴。同社の一般的なカシミヤセーターに比べて約2倍の550〜680gのカシミヤ原料を用いた。やわらかさが特徴のカシミヤをあえて目を詰めて編むことで肉厚感を出し、弾力のあるタフなガンジーセーターに仕上げた。ガンジーセーターとは英国の漁師が着ていたセーターで、厳しい自然環境に耐えられるタフな防寒着として知られている。

 ジムは1966年設立の老舗ニットアパレルで、主に百貨店や専門店への卸売りを行なっている。特にメンズセーターへの評価は高く、欧州のセレクトショップでの販売や、「コム・デ・ギャルソン(COMME des GARCONS )」とのコラボレーションでも知られている。

 今回のセーターを企画したのはジムの創業者・八木原保社長(81)の孫の雄介氏(28)。きっかけは、八木原社長が50年以上前から集めてきた世界中のニット製品のアーカイブを会社の倉庫で発見したことだった。1着1着との思い出を語る祖父に触発されて、長く愛されるセーターを作りたいと考えるに至った。アーカイブを手本にしつつ、現代のライフスタイルに合うセーターを作ろうと国内工場と試行錯誤を重ねた。

 マクアケのサイトでは商品の特徴だけでなく、原料のモンゴルカシミヤ、編み地を洗う縮絨や縫製工場などモノ作りの背景まで画像を交えて詳しく紹介している。自宅でできるカシミヤ製品の手入れ方法の動画も載せた。購入から1年目の春には、同社がメンテナンスサービスを実施する。

 現時点では20代前半から30代前半の若い世代が購入者の約半分を占める。当初から若い新規顧客の獲得を狙った雄介氏の読みが当たった。商品の魅力だけでなく「若いお客さまは当社のストーリーや世界観に共鳴してくれた。また、良いものを長く愛用したいというマインドも高まっている」と分析する。

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