ビューティ

いま「乳酸菌」に熱視線 膣ケアサプリから歯磨き粉まで

 ニッチだがいま、乳酸菌、乳酸桿菌(整肌成分)、乳酸菌生産物質が盛り上がっていると感じる。

 「ビープルバイコスメキッチン(BIOPLE BY COSMEKITCHEN)」は、100億個の乳酸菌と食物繊維を配合したフランス発のサプリメント”マフロリル ガゼリ(MAFLORIL GASSERI)”(500mg×30粒、税込6480円)の取り扱いを開始した。通販事業などを手掛けるシンセプションは、韓国式置き換えダイエットサプリメント”スケイン(SKAEIN)”(通常税込7980円、1個定期お届け税込6980円)を9月6日に発売。キー成分としてキムチ由来乳酸菌、マッコリ由来乳酸菌が配合されている。

 サプリメントだけではない。「菌活」「腸活」ブームに伴い、乳酸菌、乳酸桿菌(整肌成分)はインナーケア&アウターケアのキー成分としても注目度が高まっている。さまざまなブランド、開発者の視点から魅力を紐解いていく。

膣内フローラを整えるサプリメント”乳酸菌UREX”

 帝人は、膣内環境を整える働きが期待できるサプリメント”乳酸菌UREX”(60粒、税込2970円)を7月に発売した。帝人が行った「女性特有の悩みに関する調査」によれば、デリケートゾーンに悩みを感じたことがある女性は87%。(対象:20~50代全国女性1000名)。また、「はい」と答えた人の中で、悩みの1位はかゆみ、2位はにおい、3位はムレという結果になった。原田美由紀東京大学医学部産婦人科学教室准教授によれば「膣にも善玉菌と悪玉菌が存在している。”乳酸菌UREX”を継続的に摂取することで、肛門から膣に生きた乳酸菌が移行し、悪玉菌の抑制や、膣内環境のバランスを整えることが期待できる。膣内フローラを整えるメリットとしては、かゆみ、おりものといった悩みを減らすことが挙げられる」と話す。

 ”乳酸菌UREX”では2つの乳酸菌を組み合わせていて、菌は世界的なバイオテクノロジー企業クリスチャン・ハンセンから輸入している。帝人とクリスチャン・ハンセンが販売代理店契約を締結したことで今回の処方が実現した。洗浄剤や保湿クリームなどさまざまな膣ケアアイテムがある中で、手軽に始めやすいのも特徴だ。

12種類の乳酸菌を配合した”フィトヴェールハンドトリートメント”

 「アムリターラ(AMRITARA)」は、10月4日に”フィトヴェールハンドトリートメント”(50g、税込2970円)を発売した。ハンドクリームには、醤油由来天然ヒト型セラミドや、宇和島産真珠貝パウダーといった成分に加えて12種類の乳酸菌を配合している。勝田小百合アムリターラ代表・製品開発担当は「『ラクトバチルス ガゼイ』や『ラクトバチルス ヘルペティカス』といった12種類の乳酸桿菌と乳酸球菌を処方した。強い殺菌剤を処方すると、良い菌も悪い菌も殺してしまい手指の免疫が弱まる懸念がある。12種類の乳酸桿菌と乳酸球菌は、抗菌作用が期待できるだけでなく、悪玉菌を抑え、常在菌を活性化する点に魅力を感じた。手指の荒れや免疫に注目が集まる今ならではの商品と言える」と話す。また、コロナ禍と連動した訴求をしたわけではないものの、同じく12種類の乳酸菌を配合した“トータルバランス オーガニック トゥースペースト”(20g、税込825円・100g、税込2200円)の売り上げも伸びていると明かす。

理想的な肌環境にアプローチする”ブースター”

 「キンズ(KINS)」を展開する下川穣代表は「『乳酸桿菌/豆乳発酵液』は、豆乳を培養のエサにし、乳酸桿菌により発酵した後に、ろ過して得られる液体のこと。400種類以上の多様な成分で構成されていて、肌を健やかに整える。『キンズ』ではブースター、セラム、シャンプー、トリートメント、マスクに処方していて、特に信頼している成分のひとつだ」と話す。

 中でも、特に売れているのがブースター(50mL、初回税込5128円・2回目以降税込7128円)だ。「コロナ禍で、マスク荒れやニキビに悩む人が多いが、これは肌に棲む常在菌のうち悪玉菌が活発になるなど、バランスの乱れが原因と考えられる。マスク内の湿度が上がると皮膚はアルカリ性に傾く。すると普段は穏やかな日和見菌も悪さに加担し肌トラブルを引き起こしやすくなる。ブースターには『乳酸桿菌/豆乳発酵液』を配合していて、肌にツヤと潤いを与え健康的な肌に整える。化粧水代わりに使う人も多く、この半年で想定目標値の4倍の売り上げを記録している」とコメント。

乳酸菌生成物質配合のサプリメント”ラサンテパウダー”

 乳酸菌生産物質のサプリメントを展開するのが、ラサンテ(LA SANTE)。乳酸菌生産物質はバイオジェニックスと呼ばれ、生きた菌ではなく乳酸菌の「代謝物の総称」で、腸内でビフィズス菌などの善玉乳酸菌が作り出す物質を指す。大本きみこラサンテ代表は「乳酸菌生産物質には必須アミノ酸、ビタミン、ポリフェノール、短鎖脂肪酸などが含まれる。悪玉菌を減らすというエビデンスも発表されていて、腸内フローラにアプローチする」。”ラサンテパウダー”(30包、税込9504円)は、乳酸菌・ビフィズス菌21種類、 517種類の成分、食物繊維・オリゴ糖から成る。また、食物繊維・大豆オリゴ糖配合といったプレバイオティクスは乳酸菌を育てるエサになる。プロバイオティクスも同時に摂取することで乳酸菌を増やし、517種類の成分を含むバイオジェニックスで悪玉菌を抑え、腸内フローラのバランスを整える働きが期待できる。「当初は自社エステサロンの顧客への販売がメインで、時間をかけて販売する予定だった。モデルや女優がSNSに投稿をしたことがきっかけとなり、売り上げが急伸した。2年で1000個を目標にしていたが、販売開始初年度で2000個が完売した」と話す。コロナ禍との関係については「メディアで免疫力と腸内環境の関係性が伝えられるようになってから、さらに需要が増えた印象がある」と話す。

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