毎日新聞社は、「第39回毎日ファッション大賞」の授賞式を東京・恵比寿で25日に開催した。今年の大賞は「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴デザイナーで、新人賞・資生堂奨励賞は「CFCL」の高橋悠介クリエイティブディレクターが受賞。また昨年10月に他界した故・髙田賢三氏に向けて「ファッション文化特別賞」を設け、その功績を称えた。
業界に貢献した人や団体に贈る鯨岡阿美子賞にはデザイナーの山縣良和が主宰する「ここのがっこう」が、話題賞にはアウトドアブランド「スノーピーク(SNOW PEAK)」が選ばれた。
大賞の小泉デザイナーは、2019年に同アワードの選考委員特別賞を獲得しており、2年ぶりの授賞式参加となった。小泉デザイナーは「これまでさまざまな人に支えられながら、『トモ コイズミ』は活動を続けることができている。日本では需要が少ないドレスデザイナーとしてのキャリアは平坦なものではなく、苦しくてつらい経験も沢山してきた。それでもデザイナーの道にこだわり続けたのは、10代のころに体験したファッションへの感動があるから。今年、デザイナーを目指すきっかけとなったジョン・ガリアーノ(John Galliano)とはアップサイクル作品を作り上げ、東京オリンピックの開会式ではMISIAの衣装を担当し、夢であった歌手のビョーク(BJORK)にも着てもらった」と自身の活動を振り返った。さらに、次世代を担う若手デザイナーへの想いも語った。「今回の私の受賞が、独自性のある活動を模索している次世代の道筋になっていくことを願う。今後もマイペースに活動を続けながら、ファッションデザイナーの多様なあり方を模索していきたい」。
新人賞・資生堂奨励賞を獲得した高橋クリエイティブディレクターには賞状とトロフィー、賞金100万円が贈られた。同氏は「昨年『CFCL』を設立し、今年2月に新宿伊勢丹のポップアップからブランドをスタートした。コロナ禍での始動だったが、設立前から自分のスタンスを作り上げていたのが成功した要因だと思う。工場の方や会社のスタッフ、妻のキョンちゃんにもあらためて感謝したい」とスピーチした。授賞式後には、トークショーを兼ねたプレゼンテーションを発表。高橋クリエイティブディレクターは「コレクションの華やかなムードと、服ができ上がるまでの工場の裏側を見せる2本仕立ての映像作品を作った。日本の今後のものづくりを支えていくことを意識し、現場のかっこよさをあらためて伝えたかった。高いコストで世界に通用するためには、原価以上の付加価値をつけていくこともデザイナーの役目だと思う」と述べた。
第39回「毎日ファッション大賞」の受賞者は以下の通り。
大賞:小泉智貴 / 「トモ コイズミ」デザイナー
新人賞・資生堂奨励賞:高橋悠介 / 「CFCL」クリエイティブディレクター
鯨岡阿美子賞:「ここのがっこう」
話題賞:「スノーピーク」
ファッション文化特別賞:故・髙田賢三