アパレル業界のサステナビリティの向上に取り組むチェンジング マーケット ファウンデーション(Changing Markets foundation)やオーストリア ウール イノベーション(Australia Wool Innovation)など複数の団体は欧州連合(EU)に対し、衣類に対するエコラベルの義務付け・刷新を要請した。2023年までに、EU諸国のアパレル・シューズ製品はエコラベルを付けることが義務化されることになる。キャンペーンは「メイク ザ ラベル カウント(Make the Label Count)」と題し、ラベルの詳細や規定内容はこれから決定するという。
「メイク ザ ラベル カウント」の製作に乗り出したのは、欧州を拠点とする複数の環境団体。循環型経済の促進と環境負荷の削減に取り組む「欧州グリーンディール(European Green Deal)」アジェンダに沿って、よりサステナブルな社会を目指す一歩として製品ラベルに着目。13年から使われている指標であるEUの製品向け環境フットプリント(PEF)は「不完全」だとし、今回消費者により伝わりやすく情報を提示するために刷新を呼びかけた。
PEFでは衣服がリサイクルできるものであるかどうか、製品の生分解性・社会的影響及び化石燃料を使っているかどうかなどが考慮しきれていないものだという。現段階の測定方法では、自然由来の素材を使用した製品より、化学製品の方が環境に良いと判断されてしまい、消費者に誤った情報が届くと主張する。
新しいラベルの指標を決める投票権を持つのは、H&M(ヘネス・アンド・マウリッツ)やシーアンドエー(C&A)、「ザラ(ZARA)」の親会社であるインディテックス(INDITEX)、デカトロン(DECATHLON)、VFコーポレーション(VF CORPORATION)、ナイキ(NIKE)、ラコステ(LACOSTE)といったファッション企業や環境問題に取り組む団体など。既存のPEFの測定方法やエコデザイン、EUのエコラベルなどのツールをもとに生かせる部分かあるかどうかなど、欧州委員会とも議論を重ねていく。
スイス・ジュネーブの研究機関は「ザ・グレート・グリーンウオッシング・マシーン(The Great Greenwashing Machine)」と題したレポートを公開して、業界が一丸となってサステナビリティに取り組めていないと指摘する。アナリストのベロニカ・ベイツ・カサトリー(Veronica Bates Kassatly)やドロテ・バウマン・ポーリー(Dorothee Baumann-Pauly)研究ディレクターもまた、「ファッション企業やブランドはサステナビリティについて誤った定義、非科学的な方法や選択肢を使用しているため、努力は見えるが失敗してしるのではないか」と主張する。「メイク ザ ラベル カウント」製作陣は欧州委員会に、ラベルにマイクロプラスチックの有無といった指標を加えることを要請しており、2022年初頭には委員会から進捗が報告されるという。