この秋最大のデザインとアートの祭典「デザイナート・トーキョー 2021(DESIGNART TOKYO 2021 以下、デザイナート)」が10月22日に開幕した。5回目となる今年のテーマは“かつてないチャンス”で、“優れたデザインやアートは人間の可能性を解き放ち、コロナ禍という前例のない時代を生き抜くための気づきやヒントを与えてくれる”というメッセージが込められている。「デザイナート」の会期は10月31日まで。
表参道・外苑前・渋谷・六本木・銀座など都内各所を舞台に、アート・ファッション・プロダクト・インテリア・写真というジャンルを横断したさまざまな展示が行われている。約90の会場のなかから、今年の見所を一挙に紹介する。
KURADASHI 発想の原型
ワールド北青山ビル
「デザイナート」のメーンエキシビション。国内外のデザイナーやクリエイターが試行錯誤の末に生み出した作品のプロトタイプが見られるまたとない機会だ。さらに、これらをクラウドファンディングサービスの「うぶごえ」で販売。キュレーターを建築家の倉本仁が務め、デザインスタジオのウィープラス(we+)、建築家ユニットのクラーソン・コイヴィスト・ルーネ(CLAESSON KOVISTO RUNE)、プロダクトデザイナーの柴田文江、スキーマ建築計画を率いる長坂常、「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」ら30組が参加している。
ペリエ ジュエ / ミシャー’トラクスラー
ジャイルフード
ジャイルの4階では、“自然”をテーマに創作するオーストリアのデザインデュオであるミシャー’トラクスラー(MICHER’ TRAXLER)と、200年を超える歴史をもつシャンパーニュメゾン「ペリエ ジュエ(PERRIE JOUET)」とのコラボレーションンによるインスタレーション「I am Nature」が行われている。作品の前に立つと、その人の姿は消え、代わりに植物や生物の世界があらわれるといった幻想的な作品だ。
有明コレクション
アンノン原宿
佐賀県諸富町の家具メーカーであるレグナテックと平田椅子製作所の2社が立ち上げた家具ブランド「有明コレクション(ARIAKE COLLECTION)」の新作を、デンマークの照明ブランド「レ・クリント(LE KLINT)」とのコラボレーションで発表している。
アウトラインバッグ
東急プラザ渋谷
東京を拠点とするデザインスタジオ「KITSUCA(キツカ)」の第一弾オリジナルアイテムを発表。本体と持ち手が一体となったミニマルな輪郭(アウトライン)のバッグは、伝統的製法である植物タンニンなめしの牛革を使い、熟練された日本の職人により一つ一つていねいに制作されている。
カツキコネクション
東急プラザ渋谷
身近な存在である“紙”をテーマに、新作である3つのコレクションを発表。和紙に墨筆を施したイメージを展開したり、折り紙をモチーフにしたラグを組み合わせたり、他にはない世界に一つだけのクリエイティブな空間を創出している。
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展
銀座メゾンエルメス フォーラム
1928年にアルゼンチンで生まれ、58年にフランスに移住して以降、同地を拠点に制作を続けるアーティストのジュリオ・ル・パルク(Julio le Parc)の日本初個展。70年を超える活動の中で、常に鮮明な印象をもたらす“色”をテーマにしている。
トリー バーチ×木村佳代子
トリー バーチ銀座店
画家の木村佳代子と、米ニューヨーク発「トリー バーチ(TORY BURCH)」とのコラボレーション。「トリー バーチ」のブランドコンセプトからイメージした新作も展示されている。
「Metamorphosis Garden(変容の庭))
GINZA SIX
彫刻家の名和晃平による、生命と物質、あるいはその境界にある曖昧なものが共存する世界をテーマにしたインスタレーション『Metamorphosis Garden(変容の庭)』が展示されている。振付家のダミアン・ジャレ(Damian Jalet)との共作によるAR(拡張現実)のパフォーマンスも展開し、絶えず変容する世界がリアルな物体とARのイメージとして重なり合う展示は必見だ。
日比谷OKUROJI
明治期の煉瓦造のアーチを活かした300mの高架下の空間をリノベーションし、2020年に誕生した商業施設『日比谷OKUROJI』内では、各所でクリエイターたちによる作品を展示している。