イスラエルを拠点とするデジタルプリント企業のコーニット・デジタルは、独自の顔料インクと高速プリント技術を搭載したテキスタイルと製品用のインクジェットプリント機「プレスト(PRESTO)」を組み合わせた、オンデマンドのサステナブルなプリントサービスを発表した。同社は、2026年までに11億着の余剰製品を削減、水の使用量を4兆3千億リットル削減、172億kgの温室効果ガス削減を目指す。
日本法人のコーニット・デジタル・ジャパン(東京都港区、ゼネラルマネージャー多田比佐史)は「ファッション ウィズアウト リミッツ」と題したイベントを開催し、同技術を用いたアイテムをファッションショー形式で発表した。同日はロネン・サミュエル(Ronen Samuel)コーニット・デジタルCEO、イラン・エラッド(Ilan Elad)アジア・パシフィック社長のほか、「プレスト」を導入したテキスタイルコンバーターのデビスからハニ・デビス(Hani Debs)社長らが登壇し、デジタルプリントの可能性や今後の戦略について語った。なお同イベントの様子は11月4日に特設サイト上でオンライン配信予定だ。
エラッド社長は、環境負荷の高いテキスタイル市場の主な課題点として、プリント工程の膨大な水使用量、生地の過剰生産、運送にかかるコストを指摘。同社の最新3Dプリント技術“アトラス マックス(ATLAS MAX)”に対応する高速プリンター「プレスト」は前処理後処理工程を不要とし一切の水を使用しない点が特徴だ。最大6つのレイヤーを重ねて刺繍や3D装飾効果を直接生地にプリントすることができ、カッティング機能も搭載する。前述のプレゼンテーション内では、24時間でランウエイ用ドレスを製作する様子やニューヨークのファッションブランド「スリーアズフォー(THREE ASFOUR)」が22年春夏ニューヨーク・ファッション・ウイークで同技術を活用した事例などを紹介した。さらに同社はカスタムゲートウェイを買収し、オンデマンド生産のプラットフォーム「コーニットX」を発表。エラッド社長は「理想は世界の各地でわれわれの技術を用いたマイクロファクトリーが誕生すること。消費者のニーズに沿った商品を素早く、近くで生産できる新たなサプライチェーンを生み出したい」とビジョンを語った。