コロナを経て、ファッションのBtoB向けのECプラットフォームが世界で急成長している。伊藤忠商事も出資する世界最大手のジョアは、2021年12月期の流通総額(GMV)が、前年比63%増の1兆8000億円に達する見通しだ。日本最大のファッションBtoB向けECプラットフォームのターミナルも同様に21年度の流通総額の見通しを前年と比べ倍増の600億円を見込む。コロナ禍で国をまたいだ移動はもちろん、国内でも思うように移動ができなくなった中で、卸売りビジネスのデジタルシフトが急速に進んでいる。
コロナ前であれば、「ジョア」も「ターミナル」もBtoB向けのECプラットフォームと聞いてもピンと来なかったかもしれない。多くのファッション業界人にとって「ターミナル」は、展示会に行くと記入していたオーダーシートがいつのころからかiPadなどのタブレット端末に変わっていて、そのシステムの運営会社の方がピンと来るだろう。それがコロナ禍が全世界を襲う中で、バイヤーは国境どころか、地方から東京や大阪などの大都市圏への移動ができなくなり、ブランド側も展示会は中止に追い込まれた。そうした中で、ブランドが頼ったのが「ターミナル」、海外では「ジョア」だった。ジョアの担当者は「もともと以前から『ジョア』の場合、テクノロジーを駆使した“バーチャルプラットフォーム”としての機能を磨き続けてきた。ユーザーにはラグジュアリーブランドを筆頭にグローバルブランドも多く、小売店側にも有力な百貨店が多かった。コロナ禍で移動ができなくなり、実物が見れないようになる中で、そうした機能が世界中で支持を集め、ユーザーを急増させることにつながった」という。
直近で「ジョア」の導入ブランド数は1万3100を超え、利用している小売店は35万5000。利用している地域は150カ国・地域に達している。2010年にNYで創業したジョアはスタート当初から、ブランド側では米国の有力ブランドに加え、LVMHやケリングなどのグローバルなラグジュアリーブランドをターゲットに定め、小売店では米国の有力百貨店を獲得することで、事業の基盤を固めてきた。6月には投資ファンドから4600万ドル(約51億円)の資金調達も発表し、アジア地域での取引が急増していることから6月には中国・上海に、今年中にはソウルにも拠点を開設する。
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