ファッション&ビューティ業界にとって、専門職の人材確保は大きなミッションだ。特に理美容サロンは師弟関係が強く、“見て盗め”のムードも根強い。理美容免許を持っていても、業界を離れる人は少なくない。そんな中、全国560店舗以上を持つカット専門店大手のQBハウスは、免許保持者を対象に、6カ月でカットの基礎を学び、スタイリストデビューできる研修“ロジスカット”で人材確保に成功している。“合理的な教育”を掲げる研修の実態に迫る。(この記事はWWDジャパン2021年10月25日号からの抜粋です)
QBハウスを運営するキュービーネットホールディングスは、ハサミの開閉から基本姿勢、必要最低限のカットスタイルを学び、最短6カ月後にスタイリストデビューできるカット未経験者向け研修“ロジスカット”を2012年にスタートした。東京、大阪、名古屋、福岡、仙台の5拠点で開講し、研修期間も給与を支払う(東京で基本給19万8400円)。年齢制限を設けないことから、新卒から一度業界を離れた人、異なる業界からの転職者などが参加。これまでに500人以上が卒業し、QBハウスの下支えとなっている。
卒業率はほぼ100%
研修では、組織の説明や社会人の心得から始まり、バリカンワーク、丸刈り、ツーブロック、ソフトモヒカン、スポーツ刈りなどのカットスタイルを学ぶ。技能テストを実施し、クリアした生徒は次のステップに進む。成長を実感しながら、日々の講習に励むことができ、卒業率は100%に近い。見学も可能で、現場のムードが自分に合っているかを事前に確認できる。
店舗で実務研修を行うのも“ロジスカット”の特徴だ。入店対応や声出し、カウンセリング講習などを経て、早くて3カ月目に客を相手にカットの経験を積む。カット後の髪のすくい取りや丸刈りなどの限定的な施述からスタートし、対応スタイルを拡大。1日に20人カットする研修生も多くいる。
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