「ポスト・コロナ」を感じさせる装いとして急浮上してきたのが、ボディーにフィットするセカンドスキンのアイテムです。その先駆け的存在ともいえるのが、東京2020オリンピックのジップアップジャケットも手掛けた、廣川玉枝氏による「ソマルタ(SOMARTA)」の「スキンシリーズ」。“第2の皮膚”をコンセプトにした、無縫製のホールガーメントのニットが特徴のブランドです。この秋冬は進化を遂げて、欧米の有力ブランドからも新感覚のセカンドスキンが続々と登場しています。
たとえば「プラダ(PRADA)」は、タトゥーのようなストレッチハイネックを、レイヤードルックの要として提案。ブーツとタイツも一体化させました。素肌を覆っているのに、かえって体が際立つのは、“肌ピタ”のセカンドスキンだからこそ。引き締まって見えるうえに、楽な着心地で、色気まで漂っています。今回は、そんなモード界最先端のセカンドスキン・コーディネートをご紹介します。
ロングジレを相棒にシャープさアップ
素肌にピッタリ沿うウエアはスレンダーに見えるので、細長いシルエットのアイテムと好相性。そこで、レイヤードに重宝するのがロングジレです。
「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は、セカンドスキン・トップスの上からふくらはぎに届くほど着丈の長いロングジレを重ね、縦長のイメージを最大限に引き出しました。袖口に指を通すタイプなら、さらに肌に近い印象を演出できます。ラベンダーカラーが差し色としてアクセントになっています。
ワンピースやベストと合わせてリンクコーデにも◎
セカンドスキンは袖部分の起伏がゼロなので、勢いが続く“袖コンシャス”の真逆ともいえるでしょう。デコラティブな袖に飽きた方は、“袖ミニマル”をお試しあれ。
パリ・モードを引っ張る「マリーン セル(MARINE SERRE)」は、ブランドのアイコンである三日月をちりばめたトップスでヌーディーな雰囲気を表現。女性はワンピース×パンツの人気コーディネートと合わせ、男性はニットベストの中に着用、ベイビーはキュートな全身タイツと、三者三様にまといました。セカンドスキンでまとめた親子リンクコーディネートの出来上がりです。
ボディースーツでレトロ×近未来感を演出
全身をセカンドスキン素材で包むボディースーツは、近未来的なイメージをほうふつとさせます。スピードスケート選手にも似たスポーティーな印象を感じるのも、このタイプのよさです。タイツでほぼ全身を覆う「ユニタード」タイプなら、さらにアスレチックに見えます。
「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」は、ボディースーツをお得意のプッチ柄で彩りました。フード付きのうえ、手は指先までカバー。さらに、タイツとブーツもつながった全身タイプです。キルティングのスカートを重ねて、フェミニンな立体感を添えました。レトロとフューチャリスティックが融け合ったムードは、セカンドスキンならではです。
ワントーンコーデで着膨れ無縁のスタイルアップ
体のラインをきれいに描き出すので、セカンドスキンの装いには躍動感が備わります。見た目がもっさりしがちな冬ルックにこそ生かしたくなる理由です。
セカンドスキンのトップスとタイツをおそろいで提案したのは、「ケンゾー(KENZO)」。フード付きのニットウエアを重ねて、腕と膝下をいっそうほっそり見せています。全身を同系色でまとめるワントーンコーデを取り入れることで、腕と脚をスマートに演出できる仕掛け。足元は黒のボリュームブーツで引き締めて、着膨れとは無縁のすっきりコーデを印象付けています。
肌を露出せずともセンシュアルな仕上がりに
ボディーに密着するセカンドスキンは、センシュアルなムードを引き出すのにも一役買ってくれます。ほんのり素肌が透けるタイプなら、あでやかさもアップ。
「トム フォード(TOM FORD)」は、妖艶なピンクレースのチュニックを、セカンドスキン的な表現に生かしました。ボトムスに迎えたのは、グリーンのカラータイツ。上下でツートーンのカラーブロックを描き出しました。このように、肌を露出せずとも、センシュアルに仕上がるのがセカンドスキンの魅力。レース×タイツのカラーリッチなコンビネーションは、華やぎをまといたくなるホリデーシーズンの参考になりそうです。
セカンドスキンはストレッチが利いているので、ストレスフリーに過ごしやすいウエアでもあります。ボディーラインの引き締め効果は、着膨れが心配な冬ルックに生かしたいところ。首元や手首だけ覗かせるなど、レイヤードルックにも重宝できるから、冬のワンランクアップコーデに取り入れてみませんか。