専門店チェーン、セレクトショップの2021年10月度(既存店ベース)は、月中旬以降の急激な冷え込みで秋冬物衣料が一気に動き出したという店が中心だった。月前半の高気温に足を引っ張られ、1カ月間の数字としては各社あまりインパクトがないが、「中旬以降は2ケタ増」「都心部の商業施設にも徐々に人が戻っている」といった声が聞こえてくる。「このまま気温さえ下がれば順当に売れる」という期待が広がっている。
ユニクロは前年同月比4.8%減と落としているが、これは前年が一昨年年同月比16.2%増と絶好調だった反動によるもの。「10月16、17日の週末を境に、それ以降は“ヒートテック”のインナーや、”ウルトラライトダウン“、”ハイブリットダウン”などが売れ出した」と広報担当者。1日に発売した「セオリー(THEORY)」とのコラボや、15日に発売した「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」とのコラボも反応があったという。
しまむらの「ファッションセンターしまむら」は同9.5%減。ただし、同社は集計期間が9月21日〜10月20日であるため、気温が下がった月下旬の商況が加味されていない。実際、「10月18日週の売り上げは、週間売り上げとして過去最高を記録した」(高橋維一郎取締役執行役員)といい、話題性のある商品を次々と打ち出すこの間のMD政策に手応えを深めている。
アダストリアは同0.1%増と、7月以来3カ月ぶりの前年実績超え。「18日以降、気温が下がって商況はかなり変わった。足元は非常に好調で、10月最終の10日間は同17%増ペースだった」(広報担当者)という。売れ筋商品は秋冬商品のパンツやニット、パーカ、ロングブーツなど。
ユナイテッドアローズは同4.3%増と想定は若干下回ったものの、2カ月連続で前年実績超え。一昨年同月比でも4.2%減にまで戻してきた。緊急事態宣言が明け、「ビジネスシーンでも着用できる商品に対する購買意欲が高まってきた。都心部の店舗にも以前に比べてお客さまが戻っている」と広報担当者。売れ筋はウィメンズではブラウスやパンツ、カーディガンなど、メンズはニットトップス、ジャケット、パンツ、アウターなど。
良品計画の「無印良品」は同9.6%減と、5月以降6カ月連続の前年実績割れとなった。客数は取れているものの、客単価が同10.7%減と奮わない。特に衣服は21.0%減という大幅な落ち込み。中旬までの高気温や、前年10月は値下げ効果で一昨年同月比6.5%増と衣服を伸ばしていたこと、ベトナムのロックダウンによる長袖カットソーの入荷遅れなどが響いた。食品も昨年テレビへの露出効果で絶好調だった反動で同10.4%減。ただし食品は「月末にかけて前年実績超えに転じた」とコメント。