チャールズ皇太子が立ち上げた「持続可能な市場のためのイニシアチブ ファッションタスクフォース(Sustainable Markets Initiative Fashion Taskforce、以下タスクフォース)」は、製品をデジタルで識別し、サーキュラー・データ・プロトコルを直ちに採択することをローマで開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で発表した。データを利用して、購入した商品の持続可能性を顧客に知らせ、大規模な循環型社会の実現を促進することが狙いだ。デジタルIDはチャールズ皇太子のG20訪問の一環として、ローマの英国大使公邸で発表された。
同タスクフォースには、フェデリコ・マルケッティ(Federico Marchetti)=ユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP、以下YNAP)創業者兼会長やティエリー・アンドレータ(Thierry Andretta)=マルベリー(MULBERRY)最高経営責任者(CEO)、リカルド・ベッリーニ(Riccardo Bellini)=クロエ(CHLOE)CEO、マルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)=バーバリー(BURBERRY)CEO、ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)、ガブリエル・マッジオ(Gabriele Maggio)=ステラ マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)CEOなどが参加する。
タスクフォースの議長を務めるマルケッティYNAP会長は、「話をするだけの時代は終わった。競争の激しいファッション業界において、世界中のブランドやプラットフォームが1つの革新的なソリューションに向けて協働することは前例がないこと。これは、業界をより透明で持続可能な基盤に移行させるのに一刻の猶予もないと認識しているすばらしい企業とそのリーダーたちによってもたらされた結果であると言えることをうれしく思う」とコメントする。
各ブランドは、QRコードを起点にブロックチェーンやNFTなど、どの技術を使用するかを選択することができる。デジタルIDの導入によって、メーカーから小売り、リセール業者、リサイクル業者まで、ファッション業界全体で、販売する商品に対してこれまでにない完全な透明性とトレーサビリティーの提供が可能となる。また、修理や再販、リサイクルといった循環型サービスを顧客に提供できるようになり、これによって製品の寿命を延ばし、循環型ビジネスの拡大を目指す。
チャールズ皇太子が「有志連合」と表現するこのタスクフォースでは、常設の運営委員会を置き、共同で課題解決にあたり、デジタルID導入に関するノウハウを共有していくという。