スコットランドのグラスゴーで10月31日〜11月12日、環境問題についてさまざまな切り口から語り合うCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催されている。デザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)も出席し、英国でのファーの取り扱いの禁止を呼びかけ、合わせてファーに代わるサステナブルな新素材を提案した。
マッカートニーは、ケルビングローブ美術館とグラスゴーの美術館で「ファッションの未来」と題した展示会を開催。自身のブランド「ステラ マッカートニー」で使用するキノコ由来の人工レザーなど、これからの新素材を複数展示。新素材開発の鍵を握るキノコなどを生で併設し、自然由来であることをアピールした。
ほかにも、バイオテックベンチャーのボルトスレッズ(BOLT THREADS)が開発した人工レザー「マイロ(MYLO)」や、サッカー選手のポール・ポグバ(Paul Pogba)と契約を結んだアディダス(ADIDAS)と「ステラ マッカートニー」による世界初のビーガンサッカーシューズ、ソクタス(SOKTAS)による再生コットンなどを展示。イタリアのアクアフィル(AQUAFIL)が開発したリサイクルナイロン「エコニール(ECONYL)」など、多数の環境配慮型素材を紹介した。
展示会には、サステナブルなファッションやこれからの新素材を学ぶために、俳優のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)やサディク・カーン(Sadiq Khan)=ロンドン市長も訪れた。またチャールズ皇太子が展開するサステナブル・マーケット・イニシアチブの一部として開催されていることから、3日にはマッカートニーと共にチャールズ皇太子も展示会を案内した。
COP26は国連の気候変動枠組条約に参加している国が集まる会議で、今回で26回目を迎えた。世界のリーダーが集まるので、ファッション業界にとってはサステナブルなビジネスのための支援を政府に促したり、普段の取り組みを消費者にアピールしたりする機会となる。マッカートニーは展示会と合わせて、ファッション業界における動物由来のファーやレザーの使用に反対するキャンペーンへの署名を、世界のリーダー及び一般の参加者に呼びかけている。そしてイスラエルやアメリカのカリフォルニア州同様に、イギリスでもファーの販売を業界全体で禁止し、ファーとレザーの使用の禁止も訴える。