ユナイテッドアローズ(以下、UA)の2021年4〜9月期連結業績は、売上高が前年同期比5.3%減の504億円、営業損益が26億円の赤字(前年同期は68億円の赤字)、純損益は19億円の赤字(同50億円の赤字)だった。クロムハーツやフィーゴが連結対象から外れたことを加味した比較では、売上高は同6.5%増、一昨年同期比23.0%減だった。
「想定していた回復シナリオには及ばなかった」と松崎善則社長執行役員CEO。4月の緊急事態宣言の発令や7月以降の感染拡大などが影響し、厳しい上期となった。同業他社との比較で回復が遅れているのは「外出が活発な若年層に比べ、主な顧客層である30〜40代の人出が戻っていないことと、強みとしてきたビジネス衣料が回復していないこと」が要因と見る。ただし、緊急事態宣言が解除され、気温も低下した10月下旬から売上は回復傾向にあるといい、10月のユナイテッドアローズ単体の既存店売上高は前年同月比4.3%増の着地だった。11月以降は段階的に回復する見通し。売上総利益率は49.2%で前年同期からは6.2ポイント改善したものの、一昨年同期に対しては2.5ポイント低下した。
下期(10月〜22年3月期)は引き続き「選択と集中」を進め、不採算事業・店舗を見直す。グループ全体の店舗数は9月末時点で325店舗で、22年3月期末の店舗数は20年3月期末から14%減の310店舗の見込み。「ユナイテッドアローズも採算が厳しい店舗がいくつか残っているが、ある程度は目処がついた」といい、今後は主に子会社で運営する「コーエン(COEN)」の退店を進める。
「選択と集中」と同時に「新たな挑戦」も掲げ、課題となっている若年層の取り込みや、落ち込みが激しいビジネス衣料に代わる事業の育成を目指す。9月に始動した同社初のECブランド「シテン(CITEN)」は、インフルエンサー向けの内覧会など独自のSNS施策が功を奏し、20代の売上構成比が約30%と20〜30代前半の新規顧客獲得につながっているという。そのほかに、人気ユーチューバーとタッグを組んだアラサー女性向け「マルゥ ユナイテッドアローズ(MARU UNITED ARROWS)」も9月から販売している。年間購入金額の高い、主に富裕層顧客へのパーソナル対応は店頭ではこれまでも行なっていたが、ECでの購入金額が高い顧客には同様のサービスがなかったとして、電話やチャットで対応するコンセルジュサービスも10月から導入した。松崎CEOは「“選択と集中”で得るものを既存の成功パターンに依存しない“新たな挑戦”につなげていく」と話した。