マッシュホールディングスの2021年8月期連結業績は、売上高が前期比18%増の899億円だった。主力のファッション事業が同24%増の680億円とけん引した。基幹ブランドの「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」「スナイデル(SNIDEL)」が、コロナ禍以前の19年8月期と比較しても2ケタ増と絶好調だった。
ルームウエアの「ジェラート ピケ」は前期比35%増、19年8月期との比較では50%増と、巣ごもり需要を追い風に右肩上がりで業績を伸ばした。一方、華やかな外出着が主力の「スナイデル」も前期比41%増、19年8月期との比較でも15%増と強さを見せた。「上位2ブランドがますます強固な柱になった」と近藤広幸社長は話す。
好調要因の一つが、コンスタントな話題作りで顧客の購買意欲を喚起し続けたこと。期中に発売したコラボ・EC限定商品の型数は前期の2倍以上にのぼった。「コロナ禍の昨年から試行錯誤してきたSNSの活用術で明確な勝ち筋が見えてきたことも大きい」と近藤広幸社長。
「セルフォード(CELFORD)」も得意とするオケージョン(入学式や食事会などのイベント)が激減する中、デイリー需要の取り込みに注力したことで22%増で着地した。そのほかの主力ブランドは「エミ(EMMI)」が同47%増、「フレイ アイディー(FRAY ID)」が同3%増、「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」が6%減。
前期比横ばいの160億円となったビューティ事業に関しては悔しさをにじませる。「マスク生活で肌が荒れやすくなったという悩みや、アウトドアシーンで使えるものが欲しいというお客さまのニーズに対して、的を得た商品開発や発信ができてれば伸ばせる余地はまだまだあったはずだ」。
エリア別の売上高は、国内が同17%増の809億円、海外が同23%増の90億円。出退店数は、国内の純増47(計468店)に対し、海外では不振の香港で退店を進めたため純増4(計143店)にとどまった。
22年8月期通期の売上高は前期比10%増の990億円を予想。「外出着へのニーズが戻ってきて、売り上げにつながるはず。ビューティも再び成長軌道に乗せなければならない」と近藤社長。期中には自社ブランド横断型の新たなECアプリのローンチを計画する。新アプリは、同社のブランドと一部外部のブランドを集めた既存のECモール「ウサギオンライン」と差別化すると同時に「最大のライバルになる」という。