ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、スポットが当たりはじめた化粧品の廃棄問題の話。
【賢者が選んだ注目ニュース】
花王とコーセーが化粧品事業のサステナ領域で協働
コーセーやコスメキッチンなどの参入でオフプライス市場に活気
2021年のベストコスメを選定するシーズンに入り、今年発売された製品を振り返る機会が増えた。コロナ禍の中でも新製品・新ブランドが続々登場し、メイクカテゴリーを中心に商品のスパンが短くなる傾向は変わっていない。新商品・限定品はプロモーションの手法として欠かせない存在ではあるが、その裏側で廃棄されていく製品があることに、ようやくスポットが当たり始めたように思う。
花王、コーセーの2社が新たにサステナビリティ領域での協業を発表したことの意義は大きい。花王はかねて、容器の省資源化・完全リサイクル化を掲げて積極的にESG戦略を進めてきた。コーセーも09年から、沖縄のサンゴ礁の保護をすすめる「雪肌精 SAVE THE BLUE」プロジェクトなどの環境保護活動を続けており、30年に向けた長期計画「コーセー サステナビリティ プラン」を新たに発表し、取り組みを加速させている。
オフプライス品に
新たな価値を与えたコーセー
この発表に先立って、コーセーが直営店「メゾンコーセー」と公式サイトで立ち上げた「コーセー グリーンバザール」は、限定品など店頭での販売期間を終えた製品をオフプライスで販売するという画期的な取り組みだ。表現の仕方によってはネガティブな印象を持たれがちな期間終了製品を、エコの文脈でうまく見せている。「セール品を買う」のではなく、購入することでエコ活動に参加している意識を持つことができる。
製品廃棄を減らすための取り組みは、ロート製薬がEC大手とスキンケア製品の廃棄を防ぐ施策をすでに行っている。アマゾンでは「ビューティ旧品ページ」として、資生堂やカネボウ、「ソフィーナ」「ロレアル パリ」などの生産終了品を扱っている。ロハコでは「アウトレットビューティ」のカテゴリーを設け、前述のブランドのほか「MTG」や「ジョンマスターオーガニック」「メルヴィータ」など19ブランドを扱う。
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