アメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA、CFDA)は10日、2021年「CFDAアワード(CFDA Awards)」の受賞者を発表した。20年には新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となったが、今年はニューヨークのシーグラム・ビルディングで開かれた。
アメリカ人デザイナーを表彰する賞は全部で4部門。ウィメンズウエア・デザイナー部門には、自身の名を冠したブランドを持つクリストファー・ジョン・ロジャーズ(Christopher John Rogers)が栄光に輝いた。「ケイト(KHAITE)」のデザイナー、キャサリン・ホルスタイン(Catherine Holstein)やガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、ピーター・ドゥ(Peter Do)らの中から選出された。ロジャーズはアメリカ・ルイジアナ州生まれのデザイナーで、19年にはCFDA/ヴォーグ ファッション基金アワード(CFDA/Vogue Fashion Fund Award)を受賞している。
メンズウエア・デザイナー部門は、「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」のジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)や「アミリ(AMIRI)」のマイク・アミリ(Mike Amiri)、「テルファー(TELFAR)」や「トム ブラウン(THOM BROWNE)」のデザインを手掛けるテルファー・クレメンス(Telfar Clemens)らの中から、「ボーディ(BODE)」デザイナーのエミリー・アダムス・ボーディ(Emily Adams Bode)が受賞。同氏は過去に新鋭デザイナー部門でも受賞している。
バッグがアメリカの若者を中心にカルト的人気を集めるブランド「テルファー」のテルファー・クレメンスは、昨年に続いてアクセサリー・デザイナー部門に選ばれた。「ザ・ロウ(THE ROW)」を手掛けるアシュリー&メアリー・ケイト・オルセン(Ashley and Mary-Kate Olsen)姉妹や、「ブラザー ベリーズ(BROTHER VELLIES)」のデザイナーであり「15パーセントプレッジ」創設者のオーロラ・ジェームス(Aurora James)、ガブリエラ・ハースト、「コーチ(COACH)」のスチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)らを抑えての受賞となった。
新鋭デザイナー部門は、ブルックリンを拠点とするコンテンポラリーブランド「シオフィリロ(THEOPHILIO)」のエドヴィン・トンプソン(Edvin Thompson)に贈られた。カリフォルニア発の気鋭ブランド「ERL」を手掛け、カニエ・ウェスト(Kanye West)のMVを監督するなどの経歴があるデザイナー、イーライ・ラッセル・リネッツ(Eli Russell Linnetz)やジュエリーブランド「カイリー(KHIRY)」のジャミール・モハメッド(Jameel Mohammed)、「イージー(YEEZY)」のウィメンズウエアを担当した経歴も持つ「メイジー ウィレン(MAISIE WILEN)」のデザイナー、メイジー・シュロス(Maisie Schloss)もノミネートされていた。
20年に続き、CFDAは今年も世界で活躍するデザイナーに贈る2つの賞を設けた。インターナショナル・ウィメンズ・デザイナー部門は「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)=アーティスティック・ディレクターが選ばれた。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のダニエル・リー(Daniel Lee)や「プラダ(PRADA)」のミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)、20年に受賞している「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)、「ジャックムス(JACQUEMUS)」のサイモン・ポート・ジャックムス(Simon Porte Jacquemus)らの中から選ばれた。
インターナショナル・メンズ・デザイナー部門は、ロンドンのブランド「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」を手掛ける注目のデザイナー、グレース・ウェールズ・ボナー(Grace Wales Bonner)が受賞。ジャマイカ出身の父親を持ち、自身のルーツであるブラック・カルチャーをテーラリングに織り込んだデザインを展開する同氏が、ダニエル・リーやドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)、リック・オウエンス(Rick Owens)、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)らの中から栄冠に輝いた。
さらに特別賞として、俳優のゼンデイヤ(Zendaya)がファッションアイコン部門を受賞。アニャ・テイラー・ジョイ(Anya Taylor-Joy)は2021年の顔に輝いた。アナ・ウィンター(Anna Wintour)米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長兼コンデナスト アーティスティック・ディレクターは、「15パーセントプレッジ」の立ち上げと黒人デザイナー・ブランド支援におけるオーロラ・ジェームスの功績を讃え、創設者部門を贈った。
ほかにも、メディア部門は「エル(ELLE)」のニーナ・ガルシア(Nina Garcia)編集長が、環境問題のサステナビリティ部門はスポーツウエアの「パタゴニア(PATAGONIA)」が受賞し、フェフリー・ビーン賞が伝説的テーターのダッパー・ダン(Dapper Dan)に贈られた。ボード・オブ・ディレクターズ・トリビュート賞として、マレーシアにルーツを持ち、中国の伝統を受け継いだデザインを手掛けるヨーリー・テン(Yeohlee Teng)には、審査員のマイケル・コース(Michael Kors)から激励賞が贈られた。社会的にポジティブなインパクトを残しているとして、モデルの労働環境の改善に取り組む団体を立ち上げたサラ・ジフ(Sara Ziff)は、ポジティブ・ソーシャル・インフルエンス部門に輝いた。