モデルや女優として活躍する内田理央の普段着は、Tシャツやパーカなどカジュアルな装い。そこで本人の感性と個性を存分に生かしながら、ファッション性やプロセス、ビジネスにまでこだわった「本気のTシャツビジネス」をスタート!「WWDJAPAN」が紹介する各界の先駆者からTシャツ、イラスト、ビジネスについて学びながら、「名前貸し」とは全然違う、本気のタレントによるアパレルブランドを目指します。第2回は「ビームス T(BEAMS T)」の水村幸平ディレクターに迫ります。
内田理央(以下、内田):「ビームスT」のコンセプトを教えてください。
水村幸平ディレクター(以下、水村):“アートを身近に”というコンセプトのもと、Tシャツを軸にアートを訴求している「ビームス」内のレーベルです。
内田:「ビームスT」の顧客層は?
水村:ストリートブランド好きの若年層を中心に、コロナ以前は外国人観光客が来ていました。
内田:店舗の内装こだわっていますよね。ベルトコンベアでTシャツを運ぼうと思ったのはなぜですか?
水村:“グラフィックをどう美しく見せるか”に着目し、デザイナーの片山正通さんに20年以上前に依頼しました。未だに色褪せないのが凄いし、海外で同じようにベルトコンベアを使って商品を見せているセレクトショップもあります。
内田:店舗とECサイトで売れる商品の違いは?
水村:イベント商材は店舗の方が売れますが、特に違いはないですね。店舗で原画を飾るアートショーを開催すると、お客さまが知らないアーティストの商品でも、その場で購入されていくケースが多いです。
内田:現在のTシャツのトレンドは?
水村:現在は無地のTシャツにバックプリントが着やすくて人気です。フロントは胸ポケットにワンポイントぐらいが丁度いい。
内田:私もグッズTシャツを製作していますが、カラーリングですら決めるのに悩むんです。「ビームスT」はどうしているんですか?
水村:僕らは現代のトレンド感を意識しつつ、シミュレーションを組んでからサンプル作成をしているので、不安要素を取り除くことができます。定番のホワイトは外せませんが、昨年はアッシュグレーが人気でした。
内田:コラボ相手を選ぶときの決め手は?
水村:最近はインスタグラムでチェックして、直接オファーを掛けることが多いです。そのほか、コラボしたアーティストから数珠つながりで派生していくパターンもあります。僕らはアートカルチャーが好きで働いているので、普段から自然と情報をかき集めています(笑)。
内田:だから今の流行を敏感に察知できるんですね。私も自分が着たいものや気になっていることを大事にすべきだと改めて学びました。Tシャツのグラフィックの配置や大きさはどのように決めているんですか?
水村:アーティストにお任せする場合もあれば、お互いで意見交換して作り上げる場合もあります。コラボする上では、頭に浮かんだイメージを相手にどう伝えるかが一番重要かつ難しいです。僕は絵が苦手なので、参考資料と言葉で説明するのですが、商談後はいつも不安になります。
内田:アーティスト側からオファーが来る場合もありますか?
水村:インスタグラムのDMからオファーが来て実現したケースもあります。
内田:送ってみるものなんですね。私も送ってみようかな(笑)。コラボ相手の数は1シーズンごとに決まっているんですか?
水村:特に人数は決めていません。僕とバイヤー2人を中心に、販売員からの提案も積極的に取り入れています。フレキシブルに物事を進められるのが僕らの強みです。
内田:私自身もそうですが、「『ビームスT』に自分の商品を置いてほしい」という人が意識すべき重要なポイントはありますか?
水村:誰とも被らないオリジナリティーのあるイラストであれば、常にアートカルチャーを掘り続ける僕らが見つけ出し、声を掛けさせていただきます。