会場に入ると客席にはヘッドフォンとともに、「ショーの間は、スマートフォンカメラのフラッシュをオンにしてモデルを撮影してください」という注意書が置かれていた。コレクションノートには“reflect(反射)”というテーマとともに「光を跳ね返し、新しい光を放つ。現実を跳ね返し、新しい現実をつくる」というメッセージが添えられている。サウンドディレクションはサカナクションの山口一郎が手掛けるとある。
ショーが始まりヘッドフォンを装着すると、叫び声やささやき声などさまざまな声質で発せられる「リフレクト」という言葉が聞こえてくる。その後、歩く音や虫の声など環境音が音楽と重なり、さらに会場に鳴り響く重低音とともに共鳴していく。ショーの臨場感を感じながらもリアルとヴァーチャルが交錯する不思議な感覚に陥った。
ファーストルックは、スカートをひっくり返したようなトップスとスカートを合わせたドレス。足元に合わせたパンプスは、鏡面反射しているかのようにソールが地面に反転している。モデルはランウエイの途中で立ち止まり、ゲストはスマートフォンをかざして撮影を始める。真っ黒だったドレスは、スマホの画面を通して見るとシルバーに変わった。同じ手法で黒から宇宙を想起させる柄が浮かび上がるドレスもある。続いて、天地反転したパンツをつなげたワンピースなどが登場する。無地だったウエアは、フラッシュ撮影して画面を見ると、千鳥格子やグレンチェック、タータンチェックが浮き上がる。
その後は、左右が反転したワンピースやアウターのバリエーション。ボーダーが浮き上がったり、千人針のようなスティッチが浮き上がったり。浮き上がる柄はさまざまだ。
ラストは服の一部が連続していて円形に連なった服。そこにフラッシュライトが当たると万華鏡のような柄が浮き上がった。パッチワークで異なる色を連ねた。
スマホの画面を通して、異なる世界を見せるという全員参加型のショーを作った一方で、ヘッドフォンを装着する観客は、それぞれの世界に入ってショーを見るという特殊な環境を作り上げた。
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