プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE以下、P&G)は、米ファーマシー ビューティ(FARMACY BEAUTY)の買収を発表した。取引額は非公表。
ファーマシー ビューティは起業家のデヴィッド・チャン(David Chung)氏が6年前に創業。同社が運営するブランド「ファーマシー(FARMACY)」は “農場から顔へ直送するスキンケア(farm-to-face skincare)”を標榜し、自然原料を用いた製品を手掛ける。クレンジングバームの“グリーン・クリーン(Green Clean)”や美容液の“ハニームーン・グロウ・セラム(Honeymoon Glow Serum)”、ヒアルロン酸美容液の“フィリング・グッド(Filling Good)”などがベストセラー製品として知られている。
「ファーマシー」はD2C形態を基本とし、北米地域ではセフォラ(SEPHORA)が独占販売している。P&Gは同ブランドを手に入れることで若い消費者の取り込みと、スキンケア分野の強化、さらに同社が運営するサステナブルプラットフォーム“レスポンシブル・ビューティ(Responsible Beauty)”の理念を反映させたポートフォリオ作りを目指す。
買収後、P&Gは「ファーマシー」の運営はブランドの自主性を尊重する方針で、これがチャン氏にとっても魅力的だったという。これはP&Gが過去5年間で実施してきた買収案件から学んだことだ。具体的な案は決まっていないが、世界的に販売網を拡大していくことを直近で最大の目標に掲げる。マーカス・ストローベル(Marcus Strobel)P&Gビューティ スキン&パーソナルケア プレジデントは、「戦略はノーと言えること。拡大計画については非常に慎重に進め、ブランドとブランドが持つポテンシャルに気を付けて育てていきたい」とコメントする。
本件買収は規制当局の承認待ちの状態だという。買収条件は明らかにされていないが、業界関係者はファーマシー・ビューティ社の2021年12月期の売上高を8000万ドル(約90億4000万円)目前と予想する。この数字についてP&G社もチャン氏もコメントを控えている。