ベネズエラにルーツを持つ起業家兼投資家のカルメン・バスケッツ(Carmen Busquets)が、自身の体験を基にビジネス世界における男女の機会の不均等について語る。
バスケッツは、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)が擁する大手ファッションECサイト「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」の共同設立者。ファーフェッチ(FARFETCH)やモーダ・オペランディ(MODA OPERANDI)、ファッションECの検索プラットフォーム、リスト(LYST)など、ラグジュアリーファッションにおけるEコマースの可能性にいち早く目を付けて投資したビジネスセンスを持つ。起業家としても、マイアミ大学在学中の1990年代にベネズエラの首都、カラカスにラグジュアリーファッションを扱うセレクトショップ、カバス(CABUS)を立ち上げた。
リスクを冒して起業することや利益を追求すること、互いを尊重しあって事業を運営することに情熱を持つ同氏だが、女性の場合、ビジネス界で成功するのは容易ではないという。投資や起業に精通していても、出席者の大半を男性が占めるビジネスミーティングや投資家との会合でフラットに議論することは難しく、男性の投資家や起業家よりも資金調達や事業の売却先を探すのに苦労することが多いと話す。こうしたことから、ビジネスにおける“買収力”や“資本力”に圧倒的な差がついてしまうのだ。一口に女性といってもさまざまな社会的要因やバックグラウンドで経験は異なるが、ここではバスケッツ自身が女性として直面した課題や実態について語る。
WWD:ビジネスを運営している女性が感じるハードルにはどのようなものがある?
カルメン・バスケッツ起業家兼投資家(以下、バスケッツ):過去30年間ラグジュアリーファッションのEコマース部門で働いてきた経験では、女性の起業家らが直面する最大の壁は、ベンチャー企業や金融機関、ラグジュアリーグループなどのトップや幹部クラスのほとんどが男性であること。結果として男性中心の排他的な「ボーイズクラブ」が多く、どれだけ能力があるかに関係なく、女性の活躍を阻んでいる。また子どもを持つ女性は、基本的にフルタイムの仕事と、家族を支える仕事の2つに追われることになってしまう。私は早くから子どもを持たない選択をしたことでビジネスの世界に居続けられているが、多くの女性にとっていまだ困難となっている。
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