ファッション

ZOZOと阪急うめだ本店 D2Cブランドの催事で相互送客

 阪急阪神百貨店とファッション通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOは、きょう17日から22日まで阪急うめだ本店9階・祝祭広場で開催するD2Cブランドのイベント「マイクリエーターズフェス」において、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ相互送客に取り組む。ZOZOが20年6月よりスタートしたD2C事業「ユアブランドプロジェクト」の一環で、リアル店舗で行う初のポップアップショップとなる。

 マイクリエーターズフェスは、阪急うめだ本店が手掛ける初のD2C関連イベントで、9階以外のフロアでも開催される。17日午前に行われたメディア内覧会で、阪急阪神百貨店の星加精二郎氏は「D2Cブランドは作り手の思いや熱量が伝わりやすく、好感度が高い。イベントにはブランドデイレクターも来場し、オンラインでは体験できない形でその世界観や思いを伝えていける。ZOZOと取り組むことでオンラインでもオフラインでも自由に買い物する消費者に向けて新しい買い方や購入体験を提供したい」と話す。

 ZOZOの「ユアブランドプロジェクト」は、個性やセンスのあるインフルエンサーのブランドから運営までを同社が全面的にバックアップする事業。今回のポップアップイベントには、歌手で女優の高橋愛さんが手がける「フクウ(FUKUU)」や、人気ユーチューバー、きりまるさんのブランド「ワントゥーミー(ONETOME)」など、13ブランドが出展する

 注目ブランドの一つ「イナフ(ENOF)」は、ジュエリーデザイナーでSNSのフォロワー数23万のMIさんが手掛けるアパレルブランド。環境に配慮したサステナブル素材を使用し、長く着られるシンプルなデザインが、熱狂的なファンを中心に幅広い年齢層から支持されている。イベントでは初日のみ入場予約制限しており、すでにゾゾタウンでも完売の見込みという。

 ZOZOのコーディネートアプリ「WEAR」に投稿したのがきっかけでブランドを立ち上げたAyaさんの「ペルナ(PERNA)」も話題だ。自身の経験から高身長の人向けにデザインしたビンテージ感覚のコートやワンピースが人気を集めている。

 祝祭広場の会場は、ゾゾタウンの配送に使われる段ボールの「ZOZO箱」をシンボルとし、什器はすべて段ボールで設営した。多様な個性を発信する同プロジェクトのイメージに合わせて、カラフルなZOZO箱やフォトスポットも配置した。

 このイベントでは、ZOZOが進めるリアル店舗支援のためのプラットフォーム「ゾゾモ(ZOZOMO)」のサービス「店舗在庫取り置き」を取り入れた。店舗在庫取り置きは、ゾゾタウンの画面上で、リアル店舗の在庫確認と在庫確保ができるサービス。イベント先行販売カラーとして販売する一部商品が対象となり、事前にゾゾタウンで取り置き予約しておけば、会場内で商品の受け取りと購入が可能となる。

 さらに独自の相互送客として、阪急うめだ本店からゾゾタウンへ送客する「エンドレスアイル」も実施する。会場で在庫が欠品した際に、販売スタッフが接客しながらゾゾタウンでの購入を案内。ECモールと百貨店という垣根を越えた相互送客に取り組むことで、顧客の利便性を高めると同時に、販売機会ロスの低減を図る。

 両者は、これまでラグジュアリーブランドでリアルとネットの垣根を超えた販売に取り組んだことがあるが、オフラインのイベントにZOZOが参加するのは初めて。阪急うめだ本店にとっては、ゾゾタウンからの送客により、イベントへの集客と別商品の合わせ買いが期待できるという。

 星加氏は「エンドレスアイルは、顧客の自由な買い方に合わせた取り組みで、店舗の商品をゾゾタウンでも買える流れを作っていくことにもトライする。これまではタブー視されてきたが、顧客接点を拡大し、潜在的な売り逃しも防げる。未来の百貨店の在り方を考える取り組みのひとつ」と説明する。

 一方、ZOZOのEC事業本部本部長の松田健氏も「リアル店舗にとってライバルだと思われていたネット通販だが、オフラインでしかできないこともたくさんあり、いつか一緒に取り組みたいという思いはあった。アフターコロナに向かうなかで今回タイミングが合い、あこがれのパートナーとの取り組みが実現した。今後もプラットフォーマーとしてブランドとユーザーとつなげる役割を担っていきたい」と、抱負を述べた。

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