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百貨店に「水族館」 松坂屋静岡店が全面改装

 大丸松坂屋百貨店の松坂屋静岡店は2022年春、全面改装に着手する。ライフスタイルやモノ・コト体験に重点をおいた新業態の誘致を進め、目玉として本館の上層階に水族館をオープンする。

 松坂屋静岡店は1932年に“東海随一の実用百貨店”を掲げて静岡市に開店。71年に全面建て替えを実施し、96〜97年には北館を増築して以降2館体制で運営している。今回改装するのは本館地下1階〜7階、北館1〜4階。売り場全体の約55%に当たる約1万4060平方メートルが対象になる。リニューアルは24年春までに段階的に実施する。

 改装のコンセプトは“地域共生型百価店”。本館7階の水族館は静岡市の再開発事業と連動して誘致を実現させた。JR静岡駅北口側の市街には静岡伊勢丹や新静岡セノバなど競合となる商業施設も点在するものの、松坂屋静岡店は駅と国道1号を挟んで立地する恵まれたロケーションにある。「施設そのものが外出の目的地となる、駅前の核施設を目指していきたい」(同社)とする。

 大丸松坂屋百貨店は全体戦略として、自主編集の売り場や婦人服ボリュームゾーンを圧縮する一方、ビューティやウエルネス関連の商品・サービスや体験型コンテンツの導入を推進している。静岡店本館の低層フロアも、「アクティブなライフスタイルを楽しむ」(2階)「外見も内面も自分磨きを楽しむ」(3階)といった形で、商品カテゴリーではなくライフスタイルや価値観に基づいてフロアを再構成する。

 静岡県は県民1人当たりの所得が全国第4位(県調べ)と高い水準にあり、静岡市は人口約70万人の中心都市。北館の特選ブランドや時計・宝飾はラインアップを拡充、美術画廊も刷新するなどラグジュアリーコンテンツの強化により、地元富裕層の囲い込みを図る。

 地方百貨店は淘汰が加速する中、存在価値の再定義が進められている。三越伊勢丹ホールディングスの松山三越はホテルやフィットネス施設を誘致して9月にリニューアルオープンした。エリア特性や生活者ニーズを反映し、単なる買い物の場を超えて館を再設計することがカギになりそうだ。

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