パルコは19日、心斎橋パルコ10階に医療モール「ウェルパ(WELPA)」を開業した。パルコの主要顧客である20~40代の女性に向けて、病気になる前から自分の体と健康を考えてケアするための場をワンストッップで提供する。複数のクリニックや調剤薬局、フェムテック専門店など幅広いテナントで構成する。
受診しやすい次世代スマートクリニック
同社ウェルネス事業部の森田幸介部長はこう話す。
「パルコはファッション、アート、カルチャーなどを通して体の内面や心の豊かさも提案してきたが、昨今のコロナ情勢や社会的な課題意識からウェルネス領域に参入した。予防と未病対策、健診促進をより広めるために、利便性の高いショッピングセンターの場所と環境を活用した。クリニックを核に、フェムテックやオンライン診療の体験、薬膳茶ショップなどを同じ世界観の中に併せ持っているのが特徴といえる」
心斎橋パルコの営業時間に合わせ、平日夜や土日も営業する。クリニックの予約と受診受付後の待ち合い呼び出しなどをスマートフォンで簡単にできるのも、一般のクリニックとは異なる。
モール内には、産婦人科、皮膚・美容皮膚科、歯科の3クリニックと、調剤薬局、カフェ、フェムテック専門店、ドクターコスメの4ショップに加え、ラウンジ&ギャラリーが出店。日常的なセルフケアに役立つ商品、サービスを医療から食品まで幅広く展開する。
歯科・矯正歯科の「ナインデンタル心斎橋パルコ」は、審美を含めた予防のためのケアとメンテナンスに特化したスマートクリニックで全国初出店。歯科医院には見えない内装の診察室に最新の医療機器を導入し、通い放題の医療ホワイトニングメニューも用意した。産婦人科の「神道レディースクリニック心斎橋院」(12月オープン)は、子宮頸がんを予防するHTVワクチンの接種可能なクリニックで、PRP療法による不妊治療などにも対応。関東で6カ所運営するクリニックフォアグループの関西初医院「クリニックフォア心斎橋パルコ」(12月オープン)は、オンライン診療を積極的に推進する次世代スマートクリニックで、肌年齢と肌状態を解析できる最新機器と最新治療機器を導入する。ウェルパ内には、オンライン診療と医療機関専売コスメを取り扱う「クリニックフォアビューティ」も展開する。
医療施設と感じさせない空間演出
物販・サービスでは、台湾人と日本人の女性2人が立ち上げた台湾発漢方ブランド「デイリリー」のヘルシーカフェスタンド「デイリリーカンポウスタンド」が全国初出店した。漢方薬剤師と開発した「台湾漢方スープ」や台湾風ハンバーガー「ヴィーガンBAO」などを提供するほか、薬膳茶やサプリメントなどを販売する。
他には、処方箋がなくても薬剤師のカウンセリングを受けられる「ウィーズファーマシー心斎橋薬局」や、フェムテック専門店「フェルマータストア」の関西初ショップ、女性たちをエンパワメントするプロジェクト「レディノウズ」初の常設ギャラリー 、全身を3Dスキャンすることで身体の左右バランスや骨盤の傾きなどをチェックできる3Dボディスキャナーのブースもある。
パープルをコンセプトカラーに、医療施設にいることを感じさせないデザインが印象的なラウンジは、クリニックを利用する際、受診前後に無料で利用できる。また、大阪市内の商業施設では初めて、生理用ナプキンを無料提供するサービス「オイテル」も設置した。
ウェルパの計画は19年5月にスタート。同年3月に開業した東京の錦糸町パルコに、同社初のクリニックモールを誘致したのがきっかけだ。「クリニックは定期的な来院があり、集客機能としてビル全体への波及効果が大きい」と森田部長。新事業「ウェルパ」では、ウェルネス事業部がモールの事業主体者として、医療コンサルのスマートメディカル社などパートナーと共同開発し、テナントの誘致と運営を行う。ウェルネス事業部が、パルコなどの商業施設とマスターリース契約を結び、賃料を払うビジネスモデルとなっている。心斎橋パルコを皮切りに、今後はパルコや大丸、松坂屋への出店を拡大し、将来的には外部の商業施設にも展開していく計画だ。