“スリット”がキーディテールに浮上してきました。以前からおなじみではありましたが、新タイプは“深め”。ロングスカートに取り入れることで、重くなりがちな秋冬の装いに動きが加わり、軽やかに映ります。スリットからちらりとのぞく脚がほんのりフェミニンで、レッグラインをすっきりと印象づけてくれます。2022年春夏ミラノ&パリコレクションの会場を訪れたファッショニスタたちのおしゃれスナップは、まさにスリットコーディネートの教科書です。
フレアスカートに膝上スリット エレガンスと大胆さが交差
裾広がりのフレアスカートはスリットも優美に開くので、歩くときにひっかかりにくいのがポイント。
1枚目の写真は、フレアスカートの正面に入った大胆なスリットが目を引きます。高めのハイヒールで脚線をさらにアピール。スリットは、動いたときにこそ存在感を発揮するので、ちらりとのぞく素足で意外性も発揮できます。オーバーサイズのボマージャケットと合わせて、ジェンダーレスなムードで着こなすのが今の気分。カジュアルでありながら大人っぽい印象もまとった、絶妙なバランスに整えられています。
2枚目の写真は、深めのスリットが入ったレディーライクな幅広のプリーツスカート。エレガントなたたずまいですが、こちらもいったん歩き始めると、スリットの間から脚がのぞいてセンシュアルなムードに。プリーツのおかげでセクシーさがトーンダウンされるので、“見えすぎ”の心配も無用です。コンバット系のブーツで合わせると、さらに女っぽさが和らぎ、脚を華奢に見せてくれる効果も。
タイトスカートに深めスリット ヘルシー&セクシーに
フレアスカートと対照的なタイトスカートにも、スリットを入れるアレンジが広がってきました。裾の開きに制約があるタイトスカートですが、スリットが入ることで脚裁きの楽ちん度が格段にアップ。縦長効果も強調されます。
1枚目の右の女性の黄色いタイトスカートは、サイドスリットが太ももまで入っています。ソフトな印象のカットソー素材に、スリリングなムードを盛り込む効果も発揮。コンバット系やエンジニア系のゴツめのブーツでタフさを添えて、スリットとのバランスをクールに表現しています。
2枚目の写真では、薄手のロング・タイトスカートにスリットをざっくり加えて、健やかなレッグラインを際立たせています。2022年春夏に盛り上がりそうな“ヘルシー&セクシー”の着こなしを先取りするかのよう。足元はボリューミーなスニーカーで合わせて、アクティブなイメージを増幅させ、ソックスでコケットな表情も添えました。ワントーンで統一して、脚線を引き立てています。
ロングワンピースに正面スリット 優雅なストリートミックス
優美な印象を与えるロング丈のワンピースにスリットを加えると、別の表情を引き出せます。インパクトを強めるのは、正面に入ったスリット。もともとのエレガントで上品なムードが様変わりし、スパイスやセンシュアルなムードがプラスされ、表情豊かなスタイリングに仕上がります。
前開きのシャツドレスは、トレーンのように引きずった裾が見どころ。清楚なムードを裏切るかのように大胆なスリットが装いに奥行きをもたらしました。白いスカートを割って現れるブラックブーツでスリットを強調。黒ジャケットを重ねて、“白×黒”のツートーンコーデに仕上げました。スリットからほんのりのぞく素足がヌーディーさも印象づけています。
2枚目の写真のワンピースは、ウエスト近くまで入ったスリットがインパクト大。サイハイブーツで素足の露出を抑え、ユニークなボリュームを生んでいます。グローブまで一体化した両袖のあでやかさと、つややかなブーツの質感が響き合って、グラマラスな雰囲気を際立たせました。ミニバッグとの量感のコントラストもお見事。デニムを転写したアイキャッチーなプリント柄がアーティスティックなイメージも漂わせています。
ロングスカートやロング丈のワンピースは着丈がある分、スリットを深く入れる余地があります。結果的にレッグラインをシャープに見せる効果も強まるのが“深めスリット”の魅力。素足でヌーディーに見せるほかに、タイツやソックス、ブーツなどを使うことでさまざまなイメージを演出できます。脚見せの度合いを調節しながら冬のコーディネートに取り入れてみる価値大です。