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大坂なおみ選手が「ヴィクトリアズ・シークレット」のキャンペーンに選出 まずはVSのポッドキャストに出演

 プロテニスの大坂なおみ選手が「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET)」による「VS コレクティブ(VS COLLECTIVE)」イニシアチブに参加する。これはバックグラウンドの異なる女性たちにスポットライトを当て、それぞれのストーリーを伝えるもので、ほかにも米国サッカーチームのキャプテン、ミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)やインド出身の女優プリヤンカー・チョプラ(Priyanka Chopra)、サイズ14モデルのパロマ・エルセッサー(Paloma Elsesser)などが選出されている。今後コラボレーションやパートナーシップ、キャンペーンなどを通して、メッセージを発信する。

 大坂選手は米国版「WWD」の取材の中で、「このキャンペーンについて知ったとき、名だたる女性たちと一緒に発信していけることに喜びを感じた。子どものころに店舗を訪れた際、『壁一面に並ぶモデル(の容姿が自分と違いすぎて)共感できる人が一人もいない』と違和感があったのを覚えている。でもこれからは異なるバックグランド、文化、サイズの女性たちと手を取り合って、次世代により包括的なイメージを見せられるし、インスピレーションの基になるものが提供できるはず。すごい大きな進歩だと思う」と語る。
ほかにも「ブランドのファンで、私のお気に入りアイテムはフランネルのパジャマ。家でくつろぐのにはもちろん、プレゼントとしても最高。誰でも着られるという点も素敵だ。『VSコレクティブ』ではデザインへの憧れももっと深めていきたいと思っている。コートの外では今一番時間を費やしている」と言う。

 「ヴィクトリアズ・シークレット」のジェイニー・シャファー(Janie Schaffer)=チーフ・デザイン・オフィサーは、「なおみを『VS コレクティブ』に選出したのは、これまでのメンバーやそれぞれの発信力を考えてすごく自然なことだった。彼女はポジティブなエネルギーで人を魅了するし、勇気・誠実さ・決断力のある姿勢で世界中の女性の心を動かす影響力がある。ともにより良い変革のために動けることが光栄だ」とコメントした。

 大坂選手はまず「ヴィクトリアズ・シークレット」のポッドキャストシリーズ「VSボイシズ(VS Voices)」に出演した。先月開始したシリーズで、大坂選手は17日に公開した回に参加。「VS コレクティブ」で今後やっていきたいことやメンタルヘルスの大切さ、ファッション、故コービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏についてのこと、セリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)選手をはじめとして、多くの女性に課されるダブルスタンダード(同じ事柄に対して男性とは異なる判断基準で評価されること)について語っている。

 例えば、2018年のUSオープンでの優勝について語っている。対戦相手だったウィリアムズ選手が「過剰に感情を表現している」と批判された出来事を振り返って、「男性の選手だったら、間違いなく取り沙汰にならなかった。実際に毎年男性プレーヤーで同様、ウィリアムズ選手以上の言動をとっている選手はいる。それでもウィリアムズ選手のようにニュースにはなっていないし、批判もない。本人に対しての真っ当な批判なのか、ただネガティブな要素を見つけ出しているのか疑問。私もウィリアムズ選手も女性でなかったら、同じようにあの試合が描かれていたと思えない。ただ確かなのは、ウィリアムズ選手は影響力も大きく、彼女がとる言動に注目が集まるということ。それがあの試合に集中したことはとても悲しい」と話す。

 一躍名前が知られることになった大坂選手はその後、アスリートの枠組みを超えて、アクティビストとしても活動をしている。2020年夏には、警察による残虐行為で命を落とした黒人らの名前が記載されたマスクを着用して試合に挑んだ。その後、社会の話題・関心をBLM(黒人の命も大切)運動に向けるため、試合を棄権すると決めた。21年夏にはメンタルヘルスを理由に出場を取りやめている。そういったこともポッドキャストでは触れており、「そのときはとても試合に出れるような心境ではなかったし、起こるべくして起こった出来事だと思う。当時は私の決断にどれほど影響力があるか実感していなかったけど、多くの人にポジティブなメッセージとして届いてよかった」と語る。

 「ヴィクトリアズ・シークレット」は長らく業績不振が続き、20年2月には親会社のLブランズ(L BRANDS)が株式55%を投資会社のシカモア・パートナーズ(SYCAMORE PARTNERS)に売却しようとしたが、計画は頓挫。21年8月に独立し、現在ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’S SECRET & CO.)としてニューヨーク株式市場に上場している。同社はこれまで苦戦していたブランドイメージの向上を図るべく、女性をエンパワーメント(鼓舞する、勇気が湧くような)するようなランジェリーやキャンペーンを打ち出す方針にシフト。実際にリアルサイズのマネキンやビジュアル、女性の雇用の促進などを開始した。
しかし市場の反応は厳しく、11月17日の株価の終値は前年比11.3%減の51.62ドル(約5800円)だった。直近の売り上げは2021年8〜10月期で前年同期比6.5%増の14億ドル(約1500億円)を記録した。

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