三井不動産は19日、さまざまな場所で移動販売を行う「シェアリング商業プラットフォーム事業」を開始すると発表した。マンション、オフィス、駐車場に停めたトラックなどを店舗に見立てて、物販やサービスなどを提供する。消費者は身近な場所で商品を手に取れる。出店企業は実店舗やEC(ネット通販)のような大きな投資をせずに身軽に販売できる。20日から東京の湾岸エリアのマンションや駐車場などでキャラバン営業を始める。
事業の名称は「ミッケ(MIKKE!)」。新規事業開発のため同社が7月に設立したShareTomorrow(東京、須永尚社長)が企画した。
出店者に合わせて大小さまざまなトラックが複数の場所で移動販売する。マンション、オフィス、商業施設などの広場や駐車場を巡る。従来、店舗がなかったような立地で消費者との接点が持てる。
現時点では「エドウイン」「エアークローゼット」「ブランディア」「レリアン」「育てるタオル」「俺のベーカリー」「乃が美」「博品館」など23の企業が出店する。小売業に限らず、多様な業種から出店を募る。プロモーションの場としても活用できる。
三井不動産は事業スキームとして3つのシェアリングを掲げる。一つ目は区画のシェアで、トラックを通じてポテンシャルの高い立地に機動的に出店できる。二つ目は車両のシェアで、同社保有のトラックを出店者に貸し出すことで初期投資を抑えられる。三つ目は顧客情報のシェアで、場所、曜日、時間帯など蓄積された定量・定性のデータを営業活動に利用できる。
20日から湾岸エリアで10店舗が営業し、12月には16店舗に拡大する。以降、東京都内でトラックを増やし、来年春には60店舗の稼働を目指す。