11月29日発売の「WWDJAPAN」は、毎年恒例のメディア特集だ。誰もが“発信者”になれる今、“編集者”とはどうあるべきか。長年一線で活躍し、後輩も多く育てるベテラン編集長に、後輩編集者に送るエールを色紙にしたためてもらった。「ブルータス(BRUTUS)」編集部を14年率いる西田善太編集長のメッセージは「好奇心を人任せにしない!」。その心と編集の醍醐味を聞いた。
WWD:「好奇心を人任せにしない!」に込めた思いとは?
西田善太「ブルータス」編集長(以下、西田):昔からよく言っている言葉だけれど、編集者たるもの自分で見て自分で判断することが大事だということです。今は特に何でもSNSで「雰囲気」が流れてくるから、自分の目で見なくても、世の中の動きがなんとなく押さえられてしまいます。でも、好奇心を人に預けて確認しないで、自分で見て、自分の感想を持って、それをためておきなさいということです。たとえ偏っていても、自分の感想がある人の方が絶対、強くて。それが編集者として大事だし、後にそれが取っ掛かりになって広がっていくこともあります。
WWD:自身もそうやってこられた。
西田:入社したころに先輩たちに言われたのは、「編集部なんかにいちゃ駄目だよ、おまえ」でした。どれだけ外に出ているかが大事だと。それもあって、20代、30代のころは、忙しかったけれど、それでもいろんなものを見に行っていましたね。面白いと思うものを面白いと思っていればいい。自分の好奇心だけを基に、好きなものを追いかけたり、好きなものをたくさん見つけておくと、企画が生まれてくるのだと思います。
“伝説の編集者”寺崎央さんに言われたのは、「西田、何があろうと、そのことに対して400字は書けるようにしておけ」でした。「とりあえず、意見を言えるようにするのが編集だよ。だから、世の中の動いていることは一応、押さえておきなさい」ってよく言われて。「なんで、そんなことするんですか」って聞いたら、「その方がモテるだろ、ばか」って言われたのが、僕は好きなんです。ちょうど20代後半のころだったかな。
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