「ダヴ(DOVE)」と「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」は、動物実験の禁止を公式に打ち出し、動物保護政策の進展を支援する意を表明している。動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals以下、PETA)」や「クリエイトリー フリー ヨーロッパ(CRUELTY FREE EUROPE)」、「ユーログループ フォー アニマルズ(EUROGROUP FOR ANIMALS)」などと協力して、欧州連合(EU)およびイギリスににおける動物実験の禁止などを訴えた。
8月には、パリやベルリン、マドリッドなど、ヨーロッパの主要都市に壁面広告を設置し、欧州委員会に新しい法律の提案を求めるイニシアチブに署名するようEU市民に呼びかけた。EU加盟国でなくなったイギリスでも同様に「クルエルティー フリー インターナショナル(CRUELTY FREE INTERNATIONAL)」に署名を募り、EUとイギリスの政府にビューティ製品における動物実験の禁止を取り組めるよう求めた。
「ダヴ」ではこれまでも40年以上にわたって、動物実験を使用せずに製品の安全性を確保し、世界で70以上のパートナーとコラボレーションを実施している。エル・ホンサリ(El Honsali)=グローバル・コミュニケーションズ&サステナビリティ・シニア・ディレクターは、「動物実験以外の方法で安全性を証明するのは難しいことではない。われわれもパートナーらと専門知識やアプローチの方法を共有しているし、それでもっと関心を持つ人を巻き込んで発展するきっかけになっている」と語る。
続けて「われわれが目指しているのは、消費者から労働者、環境までビューティ製品と成分の安全性を動物以外のものでテストが行われるようになること。イニシアチブをきっかけにEUで動物に頼らない研究やテスト体制に以降し、毎年何百もの不要な動物実験の廃止が実現するかもしれない。最新の科学知識や安全性への意識の高まりに基づいて、環境の保護だけでなく人体への負担も見直されるだろう」と言う。
「ザボディショップ」のクリス・デイビス(Chris Davis)=サステナビリティ・アクティビズム・コーポレートコミュニケーション・グローバルディレクターは、「製品の安全性を保証するための動物実験は必ずしも必須ではないと考えている。ほかのブランドが取り組みに加わって、EU市民もイニシアチブに署名して、今後一緒に動き出していくのが楽しみだ。動物実験が廃止になるまで主張は続けていく」とコメント。
同議題をめぐって欧州では13年3月、動物実験の代わりに実験室で生成された人工皮膚でテストを施工するよう決定になった。一方で欧州化学機関(European Chemicals Agency、ECA)は20年8月、生産工場の労働者にリスクのある一部の物質は依然として動物で事前にテストが行われる必要があると主張。これにより日焼け止めに使用されるホモサラートとサリチル酸 2-エチルヘキシルの2つの化学物質が動物実験の義務付けの対象となった。同団体は他にも数百もの成分の実験の対象となるべきだと発表した。これに対して、今回イニシアチブを立ち上げた団体らはこれまで何年間も安全に使用されてきた物質が新たに動物実験を必要とされてしまうのではないかと懸念する。欧州議会は23年までに全ての動物実験を世界的に禁止するよう掲げる。