「ティファニー(TIFFANY & CO.)」は21日、ドバイ国際博覧会2020で「ブルー ブック コレクション 2021(BLUE BOOK COLLECTION 2021)」を発表した。「心をつなぎ、未来を創る」をテーマにした本万博で、計180カラットに及ぶダイヤモンドを使用したコレクションを公開した。ブランド史上最も高価なネックレスも初公開となった。
同ネックレスは、1939年国際博覧会に出展されたアーカイブジュエリーに新たなデザインを加え、80カラットを超える「エンパイア ダイヤモンド」をセットした。宝石職人の故郷であるニューヨーク市の象徴とも言えるエンパイア・ステートから名前をとった。価格は公開されていないものの、業界のエキスパートは2000〜3000万ドル(約22億8000万〜34億2000万円)規模のものだと推測する。
21年1月に新たに今回のネックレスの制作に乗り出すと発表した「ティファニー」は、オリジナルのアクアマリンを現代的にアレンジし、オーバルダイヤモンドを主役にした。アメリカのアールデコをテーマにデザインした展示を開いた1939年の発表した当時のスケッチを見つけて再解釈を加えたという。プラチナにダイヤモンドをあしらったリングとしても着用することができるデザインに仕上げた。
ヴィクトリア・ワース・レイノルズ(Victoria Worth Reynolds)チーフ・ジェモロジスト(宝石鑑定士)は、「制作を発表してからこの貴重な80カラットのダイヤモンドに触れながら、デザインを再考する方法を考えた。これは技術的にもアップデートになるし、デザインにも工夫を凝らしている。膨大な資料や現代の技術を参考に進化させた」と語る。
展示会場ではこのような新しいハイジュエリーデザインに加えて、歴史的デザイナーのジャン・シュルンベルジェ(Jean Schlumberger)によるこれまでの製作物や希少なジェムストーンなどを飾った。「ティファニー・タウンハウス」としてデビューした新しい顧客体験の形式を使って、パーソナルな体験を提供する空間を演出した。ドバイ国際博覧会2020の会期に合わせて23日まで、ICDブルックフィールド・プレイスで展示した。
アンソニー・ルドリュ(Anthony Ledru)最高経営責任者(CEO)は、「ハイジュエリーの分野には、非常にダイナミックな変化が見られる。われわれのブランドの歴史の中で、最高レベルの高額取引が行われている」と、本万博でハイジュエリーが世界市場でますます勢いを増していると実感したと言う。「今回の『ブルー ブック コレクション 2021』はとても好評で、特にジャン・シュルンベルジェ作品が注目を集めている。歴史やスタイルはお金で買えないものだとクライアントも理解してブランドを愛してくれているため、中国やアメリカで21年は記録的な数字が出ている。ドバイは次の目標だ」。
「ティファニー」は20年12月、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)によって買収された。LVMH傘下となって以来、ストリートブランドの「シュプリーム(SUPREME)」とのコラボを発表したり、ビヨンセ(BEYONCE)とジェイ・Z(Jay-Z)をキャンペーン起用したりしている。