11月29日発売の「WWDJAPAN」は、毎年恒例のメディア特集だ。誰もが“発信者”になれる今、“編集者”とはどうあるべきか。長年一線で活躍し、後輩も多く育てるベテラン編集長に、後輩編集者に送るエールを色紙にしたためてもらった。「ヌメロ・トウキョウ」の編集長として15年チームを率いる田中杏子編集長のメッセージは「本気であそんで本気で働く!」。自身の経験と編集の面白さを聞いた。
WWD:「本気であそんで本気で働く!」。読んで字のごとしですね。
田中杏子「ヌメロ・トウキョウ」編集長(以下、田中):私がもともと現場でスタイリングをして、ファッションが大好きで、遊んで、遊びまくってここに来たという経緯があるので、この言葉にしました。若いときは特にエネルギーを持て余しているものなので、いつも同じ人と同じ話を同じ場所でするのではなく、いろんな人と出会って、いろんなとこに出向いて、いろんなものを見て、いろんなものを吸収するというのがすごく大切で。そういった意味で、本気で遊ぶというのは、自分を深めてくれて、ひだを作れると思います。
WWD:それが編集の仕事に生きている?
田中:今活躍している人たちとの出会いは、仕事の場よりも、遊んでいる場で知り合ったパターンが多いですね。遊びの場で知り合って、わーって盛り上がって、一緒のテンションで遊んで、「あいつ、面白い」みたいなところから、人脈が広がったので。
編集は、点在している点と点を、「あっ!」と思って結んで、線にして面にして立体にするという作業だと思います。この点と点を結ぶ感覚は、気付いたもの勝ちというか。経験が増えれば増えるほど、自分の視点に自信が持てるようになるし、自分が「めっちゃ面白い、これ!」と思ったものこそ、人に伝えられますし、人の心を打ちます。でも、その「めっちゃ面白い」っていうものに出合えるかどうかが大切で。
人に会うのが超苦手だけど、マンガを語らせたら右に出る者いませんでもいいと思うんです。勉強しようと思ってマンガを見ているわけではなく、とにかく面白いから永遠にマンガを見ちゃうみたいな。それは、その人にとっての遊びじゃないですか。今は結構、バーチャルの中に遊びがあるのかもしれないですね。
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