花王が開発した、水を使わずに衣類の汚れ落としや洗髪ができる2製品がこのほど、国際宇宙ステーション(ISS)で採用されることが決まった。2022年から順次導入する。
宇宙空間において水は貴重な生活物資であり、宇宙飛行士は衣類が汚れても洗濯ができず、そのほとんどを廃棄してきた。また、無重力空間でシャンプー液が飛散しないよう、洗髪も注意を払いながら行う必要があった。このほど実施されたJAXA(宇宙航空研究開発機構)の生活用品公募に際して、花王のハウスホールド研究所・ヘアケア研究所・包装技術研究所は約9カ月にわたり、これらの課題を解決できる製品の研究開発を進めてきた。
衣類用の洗浄液を含浸させた不織布シート“スペースランドリーシート”は、汚れやにおいが気になる部分を拭き取って使う。部分的な汚れ落ちの比較では、衣類用洗剤を用いて家庭用洗濯機で洗ったときと同等の洗浄力が得られたという。含浸液には、抗菌・消臭成分も配合している。
“3Dスペースシャンプーシート”も同様に洗髪用の洗浄液を含ませた不織布だが、表面が凹凸形状をしており、頭皮のマッサージをしながら毛穴の根元の汚れまで拭き取ることができる。
今回の研究は将来的に、「国内では災害などの非常時や医療現場、海外では水不足の地域などで役立つ製品開発に応用していきたい」(同社研究員)とする。一般家庭でも入浴時の洗髪や洗濯に使用する水が環境負担となっていることから、「水を使用した洗髪・洗濯と代替できるような製品の一般化に向け、今後も研究開発を続けていきたい」としている。