11月28日、デザイナーのヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が死去した。41歳だった。同氏の公式インスタグラムによると、2019年に心臓血管肉腫というがんを診断され、以来闘病生活を送っていたという。
ヴァージルは米イリノイ州シカゴ生まれ。大学では建築関係を学んだ。12年に音楽プロデューサーのカニエ・ウエスト(Kanye West)と出会い、同氏が設立したクリエイティブエージェンシー、ドンダ(DONDA)のクリエイティブディレクターに就任。グラフィックデザインにも精通していたほか、DJや建築家など多方面で才能を発揮した。13年に自身のブランド、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフホワイト)」を設立。18年3月には、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・アーティスティック・ディレクターに抜擢され、ストリートとラグジュアリーファッションを融合するようなデザインを生んだ。
同メゾン初の黒人デザイナーとして「ルイ・ヴィトン」や業界の歴史に名前を刻んだほか、社会的問題にも積極的に声を上げてきたヴァージル。音楽プロデューサーのファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)やモデルのヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)、俳優のシンシア・エリボ(Cynthia Erivo)、ラッパーのドレイク(Drake)らによる哀悼の声を紹介する。
ウィリアムスはヴァージルの写真を載せ、「胸が痛い。ヴァージル、あなたは優しくて寛大で思慮深い、クリエイティブの天才だった。業界に残した功績と、あなたの思いは永遠に生きるだろう。あなたの妻や子ども、家族、そして周りのみんなに愛と光を贈る。主とともにあらんことを。ずっと輝いて」とキャプションで添えた。
ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)と19年に挙式した際、ヴァージルがデザインを手掛けた「オフホワイト」のオーダーメイドドレスを着用したヘイリーもSNSで自身の思いを投稿。そのドレスを着たツーショットとともに、「ヴァージルは、私のストリートスタイルやファッション全般に対する見方を完全に変えた人物。彼の物事の捉え方は私に深い影響を与えた。ランウエイに起用してくれたり、ウエディングドレスをデザインしてくれたりして、彼と出会えて一緒に仕事をできたことが本当にうれしい。いつも私のことを支えてくれた」とコメント。「彼は存在するだけで、どんな状況でも人生の素晴らしさやカリスマ性、愛と楽しさをもたらしてくれた。これほどのクリエイティビティを持つ人物は、一世代に1人しかいない。愛を込めて」。
詩人のアマンダ・ゴーマン(Amanda Gorman)は、ヴァージルが自身の祖母にインスピレーションを受けて、ゴーマンのために手掛けたルックについて振り返る。「私たちは大きなものを失ってしまった。あなたの才能と魂は惜しまれることだろう。あなたに出会い、あなたの祖母への敬愛を込めてデザインされた美しい一着を身につけられたことを光栄に思う。あの時、私は過去や現在を超越するデザインを生み出すようなデザイナーの作品を着るという名誉な経験をさせてもらった。同氏のかつての言葉を引用すると、古い絵が消されたところにこれからも新しい絵を描いていこう」と語った。
セレブリティーや著名人からはほかにも突然の死を受けて、ヴァージルへの追悼の投稿が寄せられている。