2013年にビジネススクールを卒業後、デパートでの研修を経て若干25歳で起業したジュリエット・レヴィー・コーヘン(Juliette Levy Cohen)のコンセプトストア&ECサイト「オー マイ クリーム(OH MY CREAM)」。サンジェルマン近くにたった15平方メートルの小さな店舗からスタートして以来、グリーンで安全な製品のみ厳選することから(オーガニックだけにこだわらず、独自に作成した“成分NGリスト”の成分を含まないブランドのみをセレクトしている)フランスで瞬く間にクリーンビューティの先駆け的な存在として人気を博し、今やパリだけでなく地方各都市合わせて18店舗にまでビジネスを拡大するに至っている。そして先月、パリ2区に待望の150平方メートルのフラッグシップショップがオープンした。
店内はフェイス、ヘア、コスメ、インナーケア、ホリスティックなどがカテゴリーごとに製品が並べられ、フェイスにはオリジナル製品の“オー マイ クリーム”から「タタ ハーパー(TATA HARPER)」や北欧の「ヌオリ(NUORI)」、「スーザン コフマン(Susanne Kaufmann)」など、ヘアではビーガンブランドの「カット バイ フレッド(CUT BY FRED)」やカラーリングで有名な「クリストフ・ロバン(CHRISTOPHE ROBIN)」、メイクではカナダの「イリア(ILIA)」や「RMSビューティ(RMS BEAUTY)」など旬なクリーンビューティブランドが並ぶ。
そして最近力を入れ始めているインナーケアでは、「メゾン ルノ(MAISON LUONO)」の“マジック抹茶ラテ”(32ユーロ、約円)や「アトリエ ヌビオ(ATELIER NUBIO)」の“グローサプリメント”(29.50ユーロ、約円)など話題のブランドを数多く取りそろえ、ホリスティックコーナーではアメリカから初上陸の「ソーラリ ラボラトリーズNY(SOLARIS LABORATORIES NY)」によるLEDグローマスクやLEDヘア&スカルプブラシなど、フランスでもまだ珍しいハイテク美容機器も取り扱う。店内中央には大きなテーブルがあり、その周りにはエステの資格を持つプロの販売員たちが一つ一つ的確にコンサルをしてくれるのもこの店の特徴だ。
さらにこのフラッグシップのもう一つの魅力は、充実した施術コーナーにある。1Fにはネイルブランド「キュアバザー(KUREBAZAAR)」によるネイル&ペディキュアバーがあり、地下にはトリートメントルームと赤外線サウナを始めさまざまなメニューが楽しめる空間が広がる。「タタ ハーパー」のフェイシャルは60分100ユーロ(約円)から90分190ユーロ(約円)、そして今パリジェンヌたちに人気のLEDライトのコースは1回60ユーロ(約円、20分)で受けられ、仕事の合間に立ち寄ることもできる。抗菌作用の青ライト、エイジングケア効果の赤ライト、抗炎症の黄色とシミ予防の緑が交互に発光されるコースは定期的に訪れるリピーターも多いという。そして、最近話題の赤外線サウナも完備され、45分で45ユーロ(約円、2人使用で60分)のコースは肌だけでなく体の免疫力を高め肌の輝きと安眠効果もあるという。お風呂にあまり入らず、サウナに慣れないフランス人にも美容の一環として気軽に試せるのがうれしい。
デパートの美容売り場とも「セフォラ(SEPHORA)」や「マリオノ(MARIANNAUD)」など美容チェーンとも異なる独自の立ち位置で、フランスを代表するグリーンビューティのコンセプトストアとして独自の成長を遂げている「オー マイ クリーム」。コロナ禍では毎週スタッフによるセルフマッサージのビデオや読み応え万歳のニュースレターでECの売り上げも大いに伸ばした。そんな「オー マイ クリーム」には連日世界中からブランドが売り込みの連絡をしているそうだが、バイヤーに取り合ってもらえるまでには最低でも3年かかると言われ、今フランスでデパートよりも入り込みにくいトップクラスのコンセプトストアとして確固たる地位を確立している。