フランス発高級磁器ブランド「ベルナルド(BERNARDAUD)」は、東京・原宿のJPSアートギャラリーで、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)との新作コラボレーション作品「バルーン・ドッグ(ブルー)“を展示販売した。同ブランドとクーンズのコラボは8回目で、新作は世界限定799点。新作の他にも、今までのクーンズとのコラボ作品も展示販売する。クーンズといえば、今『ユニクロ(UNIQLO)』ともコラボしており、アート愛好家以外にも認知度がアップしている。クーンズとの長年のコラボについて、6代目のアーサー・ベルナルド(Arthur Bernardaud)=ベルナルドジャパン社長に話を聞いた。
WWD:クーンズとコラボをスタートしたきっかけは?
アーサー・ベルナルド=ベルナルドジャパン社長(以下、ベルナルド):クーンズとのコラボがスタートしたのは2013年。彼がベルサイユ宮殿に巨大な花を使用した作品を制作したときから。彼は『ベルナルド』のファンで、当時社長の祖父のミシェル・ベルナルド(Michel Bernardaud)にアプローチがあり、その作品を白い磁器のベースで再現したのが始まりだ。その後、『バナリティ・シリーズ』のテーブルセットを制作。『バルーン・ドッグ』のプレートや『バルーン・スワン』『バルーン・モンキー』『バルーン・ラビット』などをコラボで制作し、昨年には『ダイヤモンド・レッド』が登場した。それに続くのが「バルーン・ドッグ(ブルー)」だ。
WWD:最新コラボの限定数が799なのは?
ベルナルド:クーンズの希望からだ。彼の作品はとても高価で、美術館でしか見ることができない。彼は、もっと幅広い人に作品を家で楽しんでもらいたいと思っている。多くのコピーがあるが、「ベルナルド」とのコラボ作品はオリジナルのプロポーション、カラー、ミラー効果を完璧に再現したクーンズのお墨付きのものだ。
WWD:8回目のコラボということだが、製造の過程は?
ベルナルド:今まで、いろいろなコラボ作品を製造してきたが、サイズやプロポーション、カラーが異なるため、今まで蓄積してきた製造工程をそのまま当てはめることはできない。素材作りから、焼く温度、カラーの出し方、ペイントの仕方など、毎回カスタマイズしているといってもいいくらいだ。
WWD:どのような層が購入して行くか?
ベルナルド:クーンズのファンやアート好き。若い富裕層なども投資目的で購入する。なぜなら、われわれのコラボ製品はオークションハウスなどで再販されるからだ。
WWD:コロナ禍の商況は?
ベルナルド:グローバルでは好調だ。“おうち時間”で百貨店などの売り上げも好調。 B to Bでは、ホテルはコロナの影響で不調だが、それ以外は「ゲラン(GUELAIN)」のハイエンドの“オーキデアンペリアル”のクリームやセラムのパッケージなどを“金継ぎ”のコレクションを用いて手がけたし、10月にオープンした「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE & GABBANA)」のパリ旗艦店の外壁を手がけたりした。
WWD:日本市場の商況は?
ベルナルド:21年の年商は前年の2倍以上になった。18年にジャパン社ができたばかりなので、ある意味当然のこと。日本では、フランスの磁器はあまり知名度がない。だから、雑誌などのメディアを通じて、より多くの人々にその魅力を知ってもらえるようにしている。まだまだ、時間がかかると思う。20年に日本でもECをスタートし予想通りの売り上げだ。SNSでの発信も行っている。約8割が新規顧客だ。出店が滞っているのが残念。来年には旗艦店をオープンできればいいなと思っている。BtoBに関しては、19~20年は東京オリンピック需要で好調だったが、今年はコロナ禍の影響でホテルのオープンなど大きなプロジェクトが減り不調。だが、回復してきている。
WWD:今後の戦略は?
ベルナルド:日本市場では、ギフト用のブランドとして確立したい。また、テーブルウエアだけでなく、ジュエリーやランプ、家具といったものも提供していくつもりだ。
WWD:「ベルナルド」が提案する豊かな“おうち時間”とは?
ベルナルド:家族や友人と美味しい料理を楽しむことが至福の“おうち時間”だと思う。クラシックからモダンまでさまざまなスタイルの製品があるので、好みで選んでもらえるはずだ。