ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、販売員やZ世代に向けて審美眼を養うことの重要さを伝える話。
【賢者が選んだ注目ニュース】
「販売員はブランドの伝道師である」販売員取材歴20年のライターが熱く語るわけ
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「販売員は、ブランドや企業を代弁する伝道師」といわれるがその通りだと思う。私は32年間の百貨店人生を販売員からスタート。16年間は販売部に所属し売り場にも立っていた。そのため今でも百貨店はもちろん、駅ビルやドラッグストアなどに足を踏み入れると製品以外に販売員を見てしまう。ファーストアプローチの仕方が気なるのだ。声掛けのタイミングなどでその店舗が良い店か、売れている店舗なのかが分かる。優秀な販売員は人をよく見ている。お客さまが目的をもって来店しているのか、下見に来ているのか、時間がないのか、などを察知する。洞察力が優れているのだ。それができた後は、ファッションやメイク、ヘアスタイルなどの雰囲気を確認してお客さまと最適な距離感で接客をしているケースが多い。
そのほか、ブランドや製品が好きであることも大前提だ。製品が生まれたストーリーなどを伝える際にそれが伝わる。接客歴1年でも原石はいる。マニュアルで覚えるだけでなく、たどたどしくても自分の言葉に置き換えて伝える姿勢があると好感が持てる。また、自分磨きをすることも大切だ。他ブランドや他店舗などをリサーチしたり、アートに触れたり本を読んだりするなど、自分を高めることが接客にも生かされる。
スマートな所作も必須だ。化粧品ブランドの販売員は所作の教育が徹底している。椅子の引き方や、ケープの掛け方なども訓練する。売り場では360度見られている意識が大切だ。よく言われると思うがステージに立っている気持ちでいることを忘れてはいけない。販売員は納品の処理や検品、配送、店出しや計数管理も必要。しかもそれを店舗でやることが大半だ。こうした裏方の仕事をいかに美しい所作でできるかもポイントとなる。事務的作業をしている間にも接客が入るので、切り替えが上手であることも求められる。
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