ファッション須賀が手掛ける「ハッカキッズ(HAKKA KIDS)」は11月26日、1976年のブランド創業以来初となる単独ファッションショーを開催した。本社の1フロアで行われた全2回のショーには、取引先やプレス関係者ら約120人が来場。“ポジティブ&リラックス”をテーマに、子どもたちから癒しとパワーをもらえるようなイベントには「コロナ禍で落ち込む市場をファッションの力で元気にしたい」という同社の想いが込められた。
ショーでは、男女のキッズモデルが2022年春夏コレクションを披露。ガールズでは、水彩画タッチの花柄をパフスリーブのドレスにプリントしたり、カーディガンに刺しゅうで施したりなど、可愛らしいモチーフを大人顔負けのディテールで提案した。ボーイズでは、恐竜や星などのポップなモチーフをプリントや繊細なスパンコールで表現。アウトドアテイストのアイテムをシックな色味でまとめることで、動きやすさとカッコ良さを両立させた。また、中盤には「ケイ ハヤマ プリュス(KEI HAYAMA PLUS)」「ハク(H.A.K)」などのウィメンズブランドも登場。「ハッカキッズ」からも大人サイズの商品を特別に打ち出し、キッズと同じモチーフを採用することで、親子で楽しむリンクコーデを提案した。
「ハッカキッズ」は、1984年に誕生したウィメンズブランド「白花(ハッカ)」の子ども服ラインとしてスタート。子どもに媚びない、エッジの効いたデザインを強みに、当時は珍しかった「大人目線の子ども服」を、47年前から作り続けているパイオニア的存在だ。2002年には、キッズのセレクトショップの先駆けとなる「リボンハッカキッズ(RIBBON HAKKA KIDS)」をオープン。同時期に創業したキッズブランドには「シャーリーテンプル(SHIRLEY TEMPLE)」や「ティンカーベル(TINKERBELL)」(19年にブランド終了)などがある。
須賀次雄・同社代表は、ショーを開催した経緯について「きっかけは新型コロナ。約2年間、僕らも取引先も厳しい状況が続いたため、来場者が自然と笑顔になれるキッズのファッションショーでパワーを届けたいと思った」。
「ハッカキッズ」は現在、直営および代行店で31店舗、卸で30店舗を展開している。特に卸は、百貨店がメインだが「郊外型になると、デザイン性よりも低価格であることが重視されがち。でも子どもの感性を育てるには、そればかりでなく、大人の感性で本気で作った服も必要。婦人服と乖離しない子ども服を作りたいと47年前にスタートしたが、“子どもらしさ”に捉われない自由な発想が、結果的にブランドの強みとなっている。僕自身もここまで続くとは思っていなかった(笑)」と約半世紀、子ども服と婦人服の双方と向き合ってきた同氏ならではの価値観について語る。
さらに「新しい子ども服を手にするきっかけは、大人の外出やイベントの機会と密接。もう何年も企画していなかった服を訴求するイベントで、皆に楽しんでもらいつつ、この状況を少しでも解きほぐしたかった」というのも趣旨となった。
ファッション須賀は、年商約45億円(2021年7月期)。ウィメンズ、キッズ&ベビー、飲食雑貨の3部門から成り、売上高は約3分1ずつで構成されているという。今後は「モノづくりの精度をさらに上げ、ロスを出さない生産体制へとシフトしていきたい」と語る。