古着にまつわる取材を進めるうちに、“川上”に興味を引かれるようになった。東京・下北沢で税込110円で古着を販売する「スティックアウト100」では、藤原輝敏社長に“古着卸”の存在について聞いた。しかし、ごみビジネスゆえのアンタッチャブルさもあってか、取材交渉は難航……。数社からお断りを受けたが、町田や下北沢に古着店「デザートスノー」を7店舗運営する「MIC(ミック)グループ」傘下の鈴可(鈴木道雄社長)に許可をもらい、神奈川県相模原市の選別工場を取材した。
WWD:古着が小売店舗に並ぶまでの流れを教えてほしい。
鈴木道雄鈴可社長(以下、鈴木):古着には海外と国内、大きく2通りの仕入れ先がありますが、鈴可は国内仕入れ専門です。80%が家庭ごみ、残りの20%をリサイクルショップから購入しています。家庭ごみは、行政(鈴可の場合は相模原市)に委託された産廃業者が回収しています。古着卸である鈴可は別途市と契約し、産廃業者から“原料”(衣料ごみ)を引き取ります。
WWD:その“原料”が、この小さなビニール袋に入った集合体である?
鈴木:そうです。家庭から出された、ごみのままの状態です。これをスタッフが1つずつ開封して選別します。
WWD:作業を見ていると1つのビニール袋の開封・選別はほんの数秒だが、品定めも同時に行っている?
鈴木:はい。そのために、この作業にあたるスタッフは目が利かなくてはなりません。1人が1日に2~3t分を選別します。鈴可は2つの選別工場を持っていて、それぞれが1500平方メートルほど。計3000平方メートルのスペースに衣料ごみを集積し、日々選り分けています。
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