遠赤外線輻射素材「光電子」を展開する繊維メーカーのファーベスト(東京、長谷享治社長)は、フェムテック分野の新事業に乗り出す。「光電子」の保温機能を軸に、女性が抱えるさまざまな体と健康の悩みに応えための素材ブランドを設立した。アパレルや関連企業に協業を呼びかけ、製品化につなげる。
女性の課題に応える素材ブランドとして「エフェ・バイ・コウデンシ」を立ち上げ、お披露目となる展示会を12月1〜3日まで渋谷で開催している。アパレルや商社、関連メーカーなどに声をかけ、「光電子」のフェムテック分野での可能性をプレゼンした。
「エフェ」を企画したのは同社の3人の若手女性社員だ。新卒入社2年目の鈴木彩花さんと舩木麻鈴さん、1年目の原田佳奈さんは「光電子」の営業を担当する中で、「この素材は女性の体の課題解決にも役立てるのではないか」(舩木さん)と考えたという。「光電子」はアウトドアウエアや寝具などでのイメージが強いが、「女性特有の冷えを防ぎ、体のコンディションを整える機能をもっと広く知ってほしい」。周囲の女性にも肌着などを試してもらったところ好評だった。
今年4月にフェムテック分野への参入を社内で提案し、プロジェクトを始動させた。展示会では「光電子」を使ったシェルターのインスタレーションを会場に設置。シェルターの中に入った来場者が素材の温かさを体感できるようにした。来場したメーカーの女性担当者は「(自分の)会社は男性ばかりなので共感できる人を求めていた。一緒に何か作りたい」と話した。
「光電子」はファーベストが約30年前から特許を持ち、アパレルなどに提供してきた。体から出る遠赤外線を繊維に練り込んだ微粒子セラミックスが、吸収と放射を繰り返すことで保温機能を発揮する。ゴールドウインの「ザ・ノース・フェイス」などの中綿ジャケットや肌着のほか、寝具メーカーなどで採用されている。