モデルや女優として活躍する内田理央の普段着は、Tシャツやパーカなどカジュアルな装い。そこで本人の感性と個性を存分に生かしながら、ファッション性やプロセス、ビジネスにまでこだわった「本気のTシャツビジネス」をスタート!「WWDJAPAN」が各界の先駆者を紹介することでTシャツ、イラスト、ビジネスについて学びながら、「名前貸し」とは全然違う、本気のタレントによるアパレルブランドを目指します。第4回は「#FR2」などを手掛けるせーのの石川涼社長に迫ります。
内田理央(以下、内田):ファッションブランドを立ち上げたきっかけは?
石川涼(以下、石川):中学生の頃からファッションに興味を持ち始め、20歳で上京しました。コネクションがなかったので、日雇いバイトをしながらアパレル関係の職を探し続け、OEM会社に就職をしました。24歳で独立して、5年間はOEMをしていたんですが、得意先に振り回される環境を変えるべく、ファッションブランドを立ち上げたんです。
内田:ブランド設立以降、消費者に認知してもらうために意識していることは?
石川:盛り上がっているマーケットを探して、そこに足りないものを作ることです。「バンキッシュ(VANQUISH)」は、渋谷のギャル男ブーム時に、彼らの専用ブランドがなかったので始めました。
内田:「#FR2」のような唯一無二なブランドを作り上げるにはそれらが重要なんですね。消費者が欲している物や、流行していることはどうリサーチしていますか?
石川:物にフォーカスするよりも、環境がどう変化しているかに注目することが大事です。「#FR2」設立当初は、インスタグラムが日本でそこまで流行していなかった。海外の友人に「文字より写真の方が面白いよ」と言われたんです。世界で勝負していくためには何が重要かを考えて、世界中が写真でコミュニケーションをしていることにSNSを通して気付いたんです。
内田:ブランド名に“#”が付いているのも先を見据えていたからなんですね。今だと誰もがSNSで使う記号になりました。
石川:インターネットで探す時代からSNSの“#”で検索する時代に変わっていくのではないかと考えて付けました。
内田:ブランドを続けていく上で重要なことは?
石川:スマートフォンを通して世界中のユーザーが商品を見ているので、日本のマーケットだけを意識していてはダメです。今はインターネットで服を買うのが日常になり、買い物が楽しみだと感じる人は少なくなったんじゃないかな。お客さまがワクワクしているのかを常に疑い続けないといけないです。
内田:オンライン上で服が売れる時代になり、ファッション業界への参入のハードルも低くなっているように感じますが、D2Cブランドについてどう捉えていますか?
石川:D2Cブランドは長く続かないと思いますよ。簡単にスタートできるから始めがちですけど、周りと同じ方向に行ったらダメなんです。今は売れるかもしれないですが、いずれ同じような服で溢れかえり、ブランド同士の差がなくなっていきます。ブランドの世界観も根付きません。D2Cが主流になればなるほど、店舗を構えているブランドの価値が上がっていきますし、外国人観光客が体感できる場がないから世界では勝負できない。内田さんがTシャツを販売するならインターネットで買えない方が売れます。セールも絶対にしない方がいい。周りと同じことをしていたら埋もれてしまうだけです。