「WWDJAPAN」12月6日号は、「ストリートスナップから検証 22年春夏“売れるトレンド”6キーワード」と題した特集を掲載している。特集制作にあたり、編集部は原宿や渋谷、新宿でストリートスナップを敢行。すてきな着こなしの人を何人もスナップできたが、「思っていたよりおしゃれな人が少ない」という声も、実はチームからは上がっていた。確かに、かつてスナップ誌を彩ったようなファッショニスタは減っているように感じる。「ファッション自体がダウントレンド」なんて言われるようになってからも久しいが、日本のリアルファッションに詳しい識者はこうした状況に何を思う?高野公三子「アクロス(ACROSS)」編集長とファッションジャーナリストの宮田理江さんに聞いた。
WWD:率直に言って、二人はおしゃれな人が減っていると思いますか?
宮田理江(以下、宮田):自粛中はジェンダーレスでラクチンなファッションが主流でしたが、展示会回りのために最近毎日のように表参道を歩いていると、街行く人のファッションが変わったなという印象があります。ミニ丈ボトムの、“Y2K”スタイル(2000年前後にはやったようなファッションを意味するトレンドキーワード)で決めたK-POP風ロングヘアの女の子が増えていて、「ロエベ」のお店や「フェンディ」の期間限定カフェも若い子たちですごくにぎわっている。自粛が明けて、みんなの気持ちが盛り上がっているように感じます。ただ、表参道であっても昔のようにファッションコンシャスな人がたくさんいるわけではなく、堅実にはなっていると思います。手持ちの服にプラスワンではやりの小物を取り入れたり、古着をミックスしたりといった着こなしが多いですね。
高野公三子(以下、高野):コロナのこの1〜2年だけを振り返っても、ファッションは大きく変わっていて面白いですよ。まず服の色が変わっているし、髪の毛の色の変化も顕著です。あと、男性が今どんどんおしゃれになっていて、そこに女の子も引っ張られています。以前の流れは逆でしたが、最近は男性の間で芽生えたトレンドが女性に広がることも増えました。「アクロス」では、ストリートファッションマーケティング調査の「定点観測」を毎月行っていますが、街でインタビューをすると、「学校の授業がずっとオンラインでおしゃれをする機会がなかったから、今日やっとこの服を着ることができた」と話す子も少なくないんです。来年はみんな、もっとはじけるんじゃないですか。
宮田:髪色の遊びにも通じますが、若い子は小物使いが本当に上手。例えばレッグウォーマーも今またはやってきていますが、ロングブーツを持っていなくても、レッグウォーマーがあれば気分が出せます。他にも、つけ襟、厚底シューズ、バケットハット、カラフルなバッグなど、みんなうまく取り入れておしゃれを楽しんでいるなと感じます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。