ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、移動型店舗など顧客のもとに赴く意義について。
【賢者が選んだ注目ニュース】
“360度接客”でファンを集める 「キールズ」の敏腕販売員
「オルビス」が初の移動型体験店舗 まずは千葉エリアから
消費者が動きにくいのであれば、ブランド側から出向く移動型店舗。パンデミックも経験した今、日本でもさまざまな可能性をもつ販売スタイルだと思っている。「オルビス」が移動型店舗に本腰を入れるというニュースには、そんな期待を抱いた。
「オルビスワゴン」は商品だけでなく、予約不要でスタッフによるスキンケアのカウンセリングやメイクレッスンなどを無料で提供するという。ワゴンには専用機器も積み込まれ、手の甲のキメを測定するスキンケア体験や、スキンケアの悩み相談やメイクレッスンなど、10分程度で完結するサービスを提供。AI未来肌シミュレーションやAIアイブローシミュレーター、パーソナルAIメイクアドバイザーなど、「ORBISアプリ」の活用法も案内する。「オルビス」の体験をデリバリーするという意味で、店舗が近くにない、あるいはそもそも外出しにくい事情のあるユーザーにとって貴重な機会となり、ブランドへの好感度が高くなることは容易に想像できる。実際、このサービスを開始して、地方在住で今まで「オルビス」を試すことができなかった消費者にアプローチできている手応えをつかんでいるという。現在は千葉エリアからのスタート段階だが、今後順次エリアを拡大する計画だ。
英国の移動型美容サロンに見る顧客との接点
移動型店舗のみの美容サロンとして成功している英国の「ドゥース(Douce)」は、自らをライフスタイルブランドと定義づける。2019年にケンブリッジで営業をスタートし、平日は、ケンブリッジやロンドン市内を巡回し、場所によって時間帯を変えてサービスを提供する。週末や祝日は、屋外ウェディングやファッションカタログ撮影、フェスティバルなどのイベントにも出向く。北米でも出張型サービスによく使われる高級キャンピングトレーラー「エアストリーム」を改造した移動型店舗で、スタイリストたち自らがSNSを活用したコミュニケーションでファンを掴む。19年度の英国のヘアスタイリストを対象にしたアワード「Most Wanted awards」では、THE BEST NEW BOUTIQUE SALONを受賞した。
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