「ファッションセンターしまむら」などを運営するしまむらの業績が、2019年2月期、20年2月期の失速を経て好調に推移している。21年2月期連結業績は、売上高が前期比4.0%増の5426億円、本業のもうけを示す営業利益は同65.4%増の380億円だった。21年3〜8月期は売上高、営業利益共に上期として過去最高を記録。22年2月期の業績予想も上方修正した。郊外の単独立地が中心である同社にとって、コロナ禍が追い風であることは間違いないが、「コロナで売れた時期はもう過ぎた」と、高橋維一郎・取締役執行役員は自信を見せる。(この記事はWWDジャパン2021年12月6日号からの抜粋です)
「あのころは売り手目線すぎた。好調なユニクロを見て、ユニクロ流を目指したことで失敗した」。19年2月期、20年2月期を高橋取締役はそう振り返る。当時進めていたのは、型数を2割絞り、1型あたりを大量生産することで売り逃しを防ぐ手法。それ自体は悪くはないが、やりすぎた。大量に作った商品が余り、販促は値引き中心に。「毎週のチラシも特価の訴求ばかりで変わりばえしないし、店頭の商品も変わらない。悪循環だった」。
ユニクロのようなSPA型ではない、品ぞろえ型専門店というしまむらの原点に立ち返って導き出したのは、「お客さまが当社に求めているのは、豊富なアイテム数とワクワクするような “宝探し”の感覚」という結論だった。しまむらは小商圏ゆえ、「週に何度も訪れるお客さまも少なくない。店頭に変化がないとお客さまは離れてしまう」。そうした考えで進めたのが商品政策の見直しだ。コロナ禍で郊外店舗に客が戻ったことにこの見直しが重なり、浮上につながった。
主に見直したのは、PB(自社開発ブランド)と、JB(Joint Development Brand)と呼ぶ「サプライヤーとの共同開発ブランド」の運営方法だ。型数を絞って失速した時期は、店頭の商品がベーシックテイストに偏ってワクワクが減っていた。それは、「素材や着心地にこだわったベーシック」であるPBの構成比率を、30%という数値先行で決めていたからでもある。その結果、「数値目標達成のため、本来はベーシックであるはずのPBの中にコンセプトから外れた商品も入ってしまい、ブレが生じていた」。リブランディングのために、まずは社内向けにコンセプトを伝える動画を作成。また、生地をストックすることで、通常は長期スパンで生産スケジュールを組むPBであっても、一部は追加生産を可能にした。
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