スニーカーにまつわる噂話のあれやこれやを本明社長に聞く連載。「ナイキ(NIKE)」のクリエイションに革命を起こしたヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は、スニーカー業界全体にとっても偉大な存在だった。思い返せば今年は、米フットロッカーが「アトモス(ATMOS)」を約400億円で買収したり、新興ブランドがグローバル規模で勢いを増したりと、スニーカー市場が大きな節目を迎えた年だったとも言える。今回は、ちょっと早めに1年を振り返る。(この記事はWWDジャパン2021年12月6日号からの抜粋です)
本明秀文社長(以下、本明):(胆石の手術で)入院中は人に会わないから冷静に1年を振り返ったけど、スニーカー市場も随分と様変わりしたね。ヴァージルが亡くなったニュースは本当に驚いた。
――そうですね。まだ信じられないです。
本明:ヴァージルが亡くなり、トラヴィス・スコット(Travis Scott)も先月の音楽フェスの事件が集団訴訟に発展している(主催した音楽フェスで10人が死亡し、300人以上が負傷。2200億円超の損害賠償を求められている)からしばらく「ナイキ」はコラボの発売を延期する。リセールバブルが弾けそうな時に、近年の「ナイキ」人気をけん引してきた両巨塔の離脱はかなり痛い。僕もいろんな人に「いいタイミングで会社を売った」と、そればかり言われるよ。僕は最近特に、「ナイキ」の“作り”が粗末になってしまったと感じる。
――ソールの修理をしている知人が、ドナーとなるソールを取るために、「ナイキ」の既存モデルを分解すると、同じモデルでも作りの良しあしが全然違うと言っていました。工場によって技術がマチマチなんじゃないかと。
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