美容品や機能衣料などを企画・販売するリベルタ(東京、佐藤透社長)が、冷感ウエア「フリーズテック(FREEZE TECH)」の販売を伸ばしている。建設・土木、製造業などの作業服、バイクウエア、スポーツやレジャーといった用途で支持が広がり、18年に4万5000点だった販売数量は、19年9万4000点、20年20万2000点、21年21万7000点(見込み)と拡大した。今後はヨガなどの女性向けスポーツウエアやファッションウエア、農業に向けても訴求し、新しい市場を開拓する。
「フリーズテック」は、リベルタが副資材やインナーウエアを手掛けるユタックス(兵庫県西脇市、宇高大介社長)と共同開発し、18年から本格販売した商品シリーズ。接触冷感の生地に冷感プリントを施すことで、気化熱、接触、プリントによる3つの冷感効果を発揮する。汗や湿気を利用して生地の温度を下げるため、効果が持続するのが特徴だ。
リベルタはオートバイ向けの冬の電熱ウエアで実績があったため、新機軸の夏の暑さ対策商品として17年からテスト販売を始めた。安全ため夏でも長袖アウターの着用が求められるバイクウエアで、涼しさが体感できるインナーウエアは評判を呼んだ。あまり時間を空けずに、ミドリ安全やトラスコ中山などの企業を通じて作業服分野、また少年サッカーやゴルフ、釣りといったスポーツ・レジャー分野にも採用が広がった。自社だけでなくOEM(相手先ブランドの生産)を通じた展開も積極的に行ってきた。
中心価格は長袖Tシャツで6000円台、半袖Tシャツで4000円台。けして安くないにもかかわらず、スポーツ専門店、バイク専門店、雑貨店などでは一度機能性を体感したリピーターの客が多い。冷感ウエアは真夏だけと考えられがちだが、バイクウエアや作業服の市場では衣服内の蒸れ対策としても重宝され、3〜11月までコンスタントに売れる。
来年以降は事業領域を広げる。手薄だった女性に向けて、人気スポーツブランドを通じてヨガウエアやランニングウエアなどを売り込むほか、ファッションブランドへの提供も増やす。来年1月には独ミュンヘンで開催される世界最大級のスポーツ用品見本市「ISPO(イスポ)」にも出展する。
またネギの産地として知られる埼玉県深谷市と提携し、農家の酷暑対策として「フリーズテック」の着用を促す取り組みを今年の夏から始めた。熱中症対策セミナーを開いたり、商品のプレゼンテーション、実際に畑での着用モニタリングなどを実施したりした。約160人の農家に商品を提供し、着用者の声を商品開発や改良にも生かす。酷暑対策が課題になっている職種は多く、同社では「フリーズテック」の潜在需要はまだ大きいと見る。