「WWDJAPAN」は11月24日、オンラインイベント「WWDJAPAN SUSTAINABILITY SUMMIT2021」を開いた。今年は「近未来のファッション」をテーマに国内外から9人が集まり議論を交わした。セッション4のテーマは、「先進企業が起業家に求めるイノベーションとは」。ケリング(KERING)のクリスチャン・トゥビト(Christian Tubito)ヘッド・オブ・マテリアル・イノベーション・ラボと京都工芸繊維大学の水野大二郎特任教授が登壇した。トゥビト・ヘッドが「次のステップはサーキュラリティー。リサイクル繊維の質を上げたい」と語れば、水野教授は「廃棄資源の循環化へとデザインを進化させたい」応える。共通するのはファッションビジネスに描く理想の姿だ。
WWDJAPAN(以下、WWD):セッション4のテーマは『グローバル先進企業が起業家に求めること』です。このサミットを締めくくるにふさわしい未来の話をうかがえると思います。といいますのも、企業がサステナビリティを進めるときに欠かせないのがイノベーションの力です。サステナビリティはイノベーションと同義語と言っても過言ではありません。では、サステナビリティの先進企業は技術革新やそれを生み出すアントレプレナーたちとどう向き合い、彼らに何を求め、どう育成しているのでしょうか。早速ですがクリスチャン、MITについて教えてください。
クリスチャン・トゥビト=ケリング ヘッド・オブ・マテリアル・イノベーション・ラボ(以下、クリスチャン):当社のマテリアル・イノベーション・ラボ(以下、MIL)は 2013年に設立されました。その役割はよりサステナブルな材料や生産工程を統合し、私たちケリングの各ブランドのコレクションに対して、またサプライチェーンに対して持続可能な選択肢を増やし、技術的なサポートを提供することです。ミラノに本社があり、パリのケリング本社内にもサステナビリティ部署があります。ライブラリーは常にアップデートされており、約4000の材料を提供しています。MILが持つ情報や技術をサプライヤーに直接提供することがとても重要で、約500のサプライヤーと組んでいます。
基本的には3つの柱があります。まずサステナブルな原料管理、次にサステナブルなサプライチェーン管理、そして責任あるイノベーション管理です。ブランドと共同開発をしたり、部署を横断したりと、幅広いエコシステムの中で活動しています。それぞれブランドと共同開発をしたり、サプライヤーと協力したりと具体的な活動をしています。MIT以外にもパイロット結果を分析する部署があれば、サーキュラリティーの戦略を練る部署もある。部門を横断し、いろいろな種類のアクターがコラボレーションをし、非常に幅広いエコシステムの中で活動しています。典型的なプロジェクトを例にお話すると最初に市場にはどのようなニーズと機会があるかを探り、整合させ、ベストな技術を特定しゆきます。それをテストし、モニタリングやパイロティングを行います。こういったステップを経て、最終的には実装します。その繰り返しであり、何年もかかります。
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