ナイキ(NIKE)はファッションやスニーカー分野のNFTを多く扱うスタートアップ企業RTFKTを買収した。買収額は非公開。
アーティファクトと発音するRTFKTはブノワ・パゴット(Benoit Pagotto)、クリス・リー(Chris Le)、スティーブン・ヴァジレフ(Steven Vasilev)の3人が2020年1月に設立。店舗デザインやロゴデザイン、eスポーツ領域で経験がある3人が「ファッションとコレクターズアイテムの将来を作るため」に創業したRTFKTは、将来人々の活動の中心になると予想されているメタバースに対応したスニーカーやコレクターズアイテムで知られる。18歳のアーティスト、フュウオシャス(Fewocious)とコラボレーションしたNFTスニーカーコレクションがたったの7分で310万ドル(約3億3480万円)で落札されたことはコレクターたちに衝撃を与えた。
ナイキはRTFKTを「ゲームエンジン、NFT、ブロックチェーンを活用した真贋技術、AR技術を推し進め、これまでにないバーチャル製品や体験を作り出している」と評価。ジョン・ドナホー(John Donahoe)=ナイキ社長兼最高経営責任者(CEO)は「今回の買収はナイキのDXを加速し、スポーツ、クリエイティビティ、ゲーム、カルチャーに関わるアスリートやクリエイターをサポートするための新たな一歩だ。RTFKTブランドに投資してサポートしながら彼らの革新的なクリエイティブなコミュニティーを成長させること、ナイキのデジタル領域と能力を拡張することがわれわれの目的だ」とコメントしている。
ナイキはゲーム「フォートナイト(Fortnite)」内でスニーカー“ナイキ レブロン19(Nike LeBron 19)”のデザインを提供するなどゲーム分野の進出にも近年力を入れていた。
パゴットRTFKT共同創業者は「ブロックチェーンネイティブのRTFKTは真贋や所有権を明らかにし、新たな体験へのアクセスを可能にするために生まれた。ブロックチェーン技術はクリエイターが限界なく活動することを助け、NFTはクリエイティビティと商業をつなぐパラダイムになるだろう。コミュニティーが生まれて影響力を持ったとき、世界は前進し古い考えは覆されるとわれわれは信じている」と語る。