「WWDJAPAN」は、「WWDJAPAN」の12月20日号および「WWDJAPAN.com」で「2021年下半期ベストコスメ」の結果を発表中だ。全国の百貨店とセミセルフショップ、バラエティーストア、ドラッグストア、ECのバイヤーに21年5〜10月に“売れた”アイテムをヒアリングし、この間発売された新製品の各部門ベスト3と、新製品と既存品を合わせた全製品(総合)の各部門ベスト3が出そろった。ここでは、ドラッグストア・バラエティーショップでのランキング結果をもとに、下半期ベストコスメから読み解ける市場のトレンドを紹介する。
スキンケアは消費者ニーズにマッチしたロート製薬が人気
スキンケアはロート製薬が強さを見せつけた。化粧水部門は全製品(総合)では「メラノCC」の“メラノCC薬用しみ対策美白化粧水”、新製品では「肌ラボ(R)」の“極潤 薬用ハリ化粧水”が1位、美容液部門は全製品(総合)で「オバジ(OBAGI)」の“C25セラム ネオ”と「メラノCC」の“メラノCC薬用しみ集中対策 プレミアム美容液”が1、2フィニッシュ。化粧水部門はほかにも“ナチュリエ スキンコンディショナー”などがランクインしており、1000円前後の購入しやすい価格かつ毎日たっぷり使える大容量が人気。そういった点においては、ロート製薬のスキンケアには詰め替え用があるため(一部除く)うまく消費者ニーズをとらえた形だ。一方で美容液は1品で高い効果が期待できる高価格帯が支持を集めた。
クレンジング・洗顔部門は、「WWDJAPAN」でも不動の人気を誇る、「デュオ(DUO)」のクレンジングバームが全製品(総合)の1・2位に輝いた。中でも1位の“ザ クレンジング ブラックリペア”は21年3月に発売されたばかりのアイテムで、“洗う”ブランドイメージが定着しているブランドへの信頼感、そして在宅時間が増えた“巣ごもり”需要が追い風となったようだ。
“まつ育”はもはや毎日の定番に
メイクアップはコロナ禍のマスク着用生活で引き続きUVベースと目元ケアに人気が集中。ベースメイク部門は、上半期ベストコスメでもランクインしていた「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」の“UVイデア XLプロテクショントーンアップ ローズ”や「マキアージュ(MAQUILLAGE)」の“ドラマティックパウダリー EX“、そして7月に登場した「プリマヴェスタ(PRIMAVISTA)」の“スキンプロテクトベース(トーンアップ)”が上位に入り、「ファンデーションを使わずベースだけで軽やかにしたい」「肌にフィットしてマスクでも崩れにくい仕上がりにしたい」というニーズに対応するアイテムが好調だ。アイメイク部門は、富山の製薬会社が開発した「水橋保寿堂製薬」の“エマーキット”が全製品(総合)の1位に輝き、“まつ育”はもはや毎日のケアの一つになりつつある。
ティントがマスク生活の味方 リップが復活の兆し
今回のランキング結果は、リップ復調の兆しも感じさせる。リップ部門の全製品(総合)と新製品ともに首位を飾ったのは「ケイト(KATE)」の“リップモンスター(05)”だ。累計出荷数120万本(2021年4月20日〜10月31日)を突破し、セルフメイクの口紅市場においてシェア55%を超える(インテージSRI/2021年5月10日~5月16日)ヒットを記録。品薄状態が続いたため、ブランドはお詫びと増産体制を整える発表をおこなったほど。もちろんブランド側にとってはお客との出合いの機会を逃してしまう見過ごせない事態。しかしコロナ禍のビューティ業界で最も大打撃を受けたと言っても過言ではないリップカテゴリーにこのような“悲鳴”が上がるのはうれしい限りだ。そのほか、「セザンヌ(CEZANNE)」“ウォータリーティントリップ”や「ロムアンド(ROM&ND)」の“ジューシーラスティングティント”、「オペラ(OPERA)」の“リップティント N”がランクインしており、「落ちない・色移りしない」を打ち出すティントリップは、マスク生活において強い味方になっている。