「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ニコアンド(NIKO AND…)」などを運営するアダストリアは、ハワイアンカフェ「アロハテーブル(ALOHA TABLE)」などを運営するゼットンを子会社化する。ゼットンが12月14日付で実施した第三者割当増資をアダストリアが引き受けると共に、TOB(株式公開買い付け)を行う。28億円を投じて株式の51%を上限に取得する。
アダストリアは2017年10月に、グループ初の飲食事業会社としてアダストリアイートクリエーションズ(以下、AeC)を設立。21年5月にアダストリア社長に就任した木村治氏(AeC設立当時は常務)がAeCを率いてきた。AeCは国内外の有力飲食店をフランチャイズ運営しており、米カリフォルニア発のスムージー店「ジャンバ(JAMBA)」や「ザ シティ ベーカリー(THE CITY BAKERY)」などの店舗も運営している。ゼットンは1995年に名古屋で設立し、17年に飲食のDDホールディングスの子会社となっていたが、コロナ禍もあり資金繰りに窮していた。21年9月末時点のゼットンの店舗数は国内が65店、米ハワイなど海外が9店。
アダストリアはゼットンの子会社化により、かねてから目指している「アパレルの枠を超えた、多様なライフスタイルの提案」(公開資料から)を強化する。例えば、ハワイアンカルチャーを打ち出したカフェである「アロハテーブル」では、アダストリアの生産背景を使ってオリジナルの食器や衣料品などを企画することで、ブランド価値を高める。ゼットンは会員登録者数1270万人のアダストリアの自社ECモール「ドットエスティ(.ST)」などを通じてプロモーションを行うことで、効率よく集客すると共に顧客化を目指すといったシナジーを描く。大型商業施設への出店交渉についても、国内に1378店を持つアダストリアの傘下になることで、賃料の面などで有利に働くと期待する。