ファッション

「アンダーカバー」2016年春夏パリ・コレクション

REPORT

25周年 解体と再び構築、ユーティリティーで見せるロックンロール・サーカス

会場は、19世紀に創業したサーカスの専門劇場。サーカスを見るかのように四角い舞台を囲むように客席は配置された。ザ・ローリング・ストーンズの音楽に乗って舞台に登場したのは、ピエロメイクが施されたモデルたちで、ピエロ襟を付けてポーズを取りながら軽快に舞台を歩いていく。

冒頭は、コンパクトなテーラードスーツをベースしたスタイル。ジャケットは前身頃しかなかったり、袖を切り離してアクセサリーにしていたり。解体し、再構築したスタイルだ。ショーを通じてポイントになるのがユーティリティーの要素。特にバックパックが鍵で、城の形をしたものやナポレオンジャケットのディテールを用いたものなど、ユニークなデザインから、その要素をウエアにも落とし込んだものまでさまざまだ。バックパックと一体化したテーラードジャケットやライダースジャケット、ナポレオンジャケットやトレントコートなどバリエーションも多い。

ショー中盤の主役はトランプモチーフ。ハート、スペード、ダイヤ、クローバー。その中にザ・ローリング・ストーンズの若かりし頃の写真がプリントされ、シャツドレスやスカート、パンツなどにのせられた。トランプのキングをプリントしたジャケットもある。ハートモチーフは、デコレートしてアップリケしたり、チェック柄のスーツ地にさりげなく用いたりとさまざまな形で登場する。終盤は、パーツをパズルのように再構築したミリタリースタイルでショーの幕を下ろした。

インスピレーション源は1960年代の英国のバンド。そのなかでも、プリントやショーの音楽で用いたザ・ローリング・ストーンズが手掛けた映像作品「ロックンロール・サーカス」がアイデアの鍵になった。

ショー終了後、バックステージで「アグレッシブで元気になるようなコレクションにしたかった」と高橋盾が語るように、ブランドの代名詞の一つ“ダークファンタジー”の世界は控え目に、今回は25周年にふさわしいポジティブムード溢れるコレクションを披露した。

ブランド25周年を迎え、10日からは東京オペラシティアートギャラリーで展覧会「ラビリンス・オブ・アンダーカバー」の開催を控えている。「ノンストップですよ。むしろこれからですよ」。回顧展は通過点にしかすぎない、と言わんばかりに、気持ちを内に秘め飄々と語った姿が印象的だった。

 

LOOK

UNDERCOVER x コレクションの記事

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。